【これぞ文学的な映画】
ミニシアターエイドの発起人、濱口竜介監督の最新作。
「ドライブ・マイ・カー」の時に感じた高級感をそのまま残してくれた良質な映画であった。
予算はさほど掛かっていないであろう。
長回しが中心の会話劇であった。
ミニシアターらしさがよく出ていた。
やっぱり私はミニシアターが好きだ。
本作を鑑賞して一番強く心に残ったのは、"言葉"についてである。
以前、国語の先生が、国語を通して私は自分の気持ちを言語化する力をつけさせたいと言っていたのを思い出した。
自分が心の中で思っていることを100%相手にそのまま伝えることってかなり難しい。
難しいながらも誤解なく、共感的に伝えるには"言葉選び"が重要になってくる。
3話の短編集はどれも台詞の多い会話劇であった。お互いの気持ちを正確に伝えようと"言葉"を探す丁寧さがそこにはあった。
こういう映画を文学的って呼ぶのだと感じた。
濱口監督の内面が吐露された本作に胸打たれた私は、早くも彼の次回作を待つ日々を過ごすことになる。