ゆず

偶然と想像のゆずのネタバレレビュー・内容・結末

偶然と想像(2021年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

■魔法(よりもっと不確か)
元カレを詰るように見えて実は自分をも傷つけているんじゃないかと思える刺々しい言葉。やめて!もうやめて!自分を傷つけるのはやめて!ってなった。本人も何をしたいのか分かってない感じが痛々しい。
少女っぽく見える古川琴音の方が恋愛強者(?)で、お姉さんに見える玄理の方が何も知らずに恋する女性を演じている、という配役のギャップも面白い。

■扉は開けたままで
なぜ性描写を小説に書いたのかという問いに、淡々と「本を売るため、というのもあります」と答える教授。それ自体が、このオムニバス映画の第2部にこのエロティックな短編があることの理由にもなっていて、メタだな〜と思った。
今まで見た中で一番教養のある渋川清彦?

■もう一度
幸せな家庭を手にしたがどこか満たされない主婦と、青春時代の思い出を引きずり続けている女性が、"再会"する物語。
その"再会"が面白すぎて、このオムニバスで一番印象の良い作品。いやでも人間の意識だの認識だのってそんなもんらしいっす。知らない人から「ひさしぶりー!」って言われると自分が相手を忘れてしまったと思って慌ててしまうんすよ。
仙台駅西口のペデストリアンデッキでロケ。地元民なので、新幹線乗るのにその方向は回り道だろ、と思ったけど、回り道だからこそドラマが…。

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3編通して割と演技っぽい演技というか、台詞っぽい台詞が多かった印象。舞台演劇ぽいというか。親しい相手とはもっとダラダラ喋らないか?と思ってしまうような。是枝作品的な自然体の演技とは異なるアプローチ。
それが逆に奇妙な偶然と状況を描いた本作には合っているのかもしれない。
ゆず

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