ぶみ

対峙のぶみのレビュー・感想・評価

対峙(2021年製作の映画)
4.0
三本はしごのラストはこちら。

なぜ
なにを
話す?

フラン・クランツ監督、脚本、リード・バーニー、アン・ダウド、ジェイソン・アイザックス、マーサ・プリンプトン主演によるドラマ。
ある事件の加害者と被害者それぞれの両親が一堂に会し、話をする姿を描く。
加害者側の親をバーニーと、ダウド、被害者側の親をアイザックスとプリンプトンが演じており、他に両者を仲介したセラピストや、場所を提供した教会の担当者が登場。
物語は、ほぼほぼ教会にある小さな個室を舞台とした四人の会話劇となっており、ぎこちない挨拶からスタート、お互いが腹を探り合う姿を見せられることとなるが、その緊張感や、場の雰囲気たるや、あたかも部屋の片隅に傍聴人として座らされているかのよう。
また、徐々に話が進むに連れ、過去に起きた事件の様子が、それぞれの立場から語られることとなるのだが、やりとりを聞いているだけで、見てもいないその事件の現場の臨場感が、鮮やかに浮かんできてしまうほど。
原題の『Mass』には、大量や集団、大衆といった通常考えられる意味のほか、宗教的な集いであるミサも意味しているようだが、流石に、そのまま『マス』としては意味がよくわからないので、まさに二つの家族が対峙する様を表した邦題は秀逸。
ワンシチュエーションによる会話劇がメインであるため、舞台を観ているようで、それならば、いっそのことワンカットでも良かったのでは、と感じた半面、アスペクト比を変更したり、画角を変えたりと、随所に映画らしい動的な演出が静の中にあることから、つい見入ってしまい、様々な光景が脳裏に浮かんでくる良作。

最高の選手は一番汚い。
ぶみ

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