⭐︎アンドロイド人間の登場で、人間が欲望を全て手に入れて依存する近い未来の世界を描いた、社会的テーマのロマンス作品。
⭐︎序盤から見た目に反したAIらしい、抜くことを知らない絶妙な無機質さのある会話と動きがシュール。何気ない日常会話もコンピュータシステムを駆使した返答で、ある意味空気が全く読めていない、その誤差がコメディとして面白くよく出来ている。
⭐︎アンドロイド人間、実験プログラム、ホログラム、誘惑システム、無機質なオフィスなど、近未来的な設定を順を追って丁寧に説明しており、怖さは少なくかなり優しい印象。遺跡のような世界に生きる主人公との対比も分かりやすい。
⭐︎仕立ての良い光沢シャツにブラックボトム、トレンチのシックなスタイルがセンス良くお洒落。足の長さも際立つ。
⭐︎アンドロイド人間の動きがとにかく不気味。関節の可動域がおかしいく、無駄に無表情。身体動作の面で芝居のクオリティが高い。
⭐︎ロボットと人間が完全に見分けがつかない社会はホラーだった。人間に限りなく近いのに、人権が無く、人に利用されるものとして存在するという事実が、複雑だった。
⭐︎心理学の知識で分析はできても、決して実感を伴わない機械と人間は、本当の意味で心から繋がり合えるのか、考えさせられる。相手のいない対話で人生が終わる絶望感、孤独は言いようがない。
⭐︎幼い頃から変わらなかった信念が、ラストで確実なものになるような暗示は、切ない。