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白い牛のバラッドのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

白い牛のバラッド(2020年製作の映画)
3.0
[これも全て"神のご意思"か] 60点

2021年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品。この前年のベルリン映画祭に出品されたモハマド・ラスロフ『悪は存在せず』もイランにおける死刑を暑かった作品で、こちらは金熊を受賞している。同作は死刑に直接携わる(或いは携わった)人物についてのオムニバス映画だが、本作品は遺族側に焦点を当てている。しかも、死刑となった亡くなった人物は冤罪だったのだ。物語は未亡人ミナとその娘を中心に展開するが、どうにも未亡人には生きにくい社会であることが描かれる。夫がいない分仕事をする必要があって忙しいのだが、賠償金は全然振り込まれないし、未亡人だという理由で新聞広告も渋られるし、親戚じゃない男を家に上げると怒られるし、云々。そんな中、亡くなった夫の旧友を名乗るレザという男が現れる(最初は"宝籤当てたら自称親戚が湧く"という話を思い出していた)。このままミナの物語をどう展開するのかと思った段階で、この怪しげな男レザの正体が明かされ、ミナとレザの双方の視点から死刑問題について迫っていく。

家の中の撮り方、特に引っ越して以降は手前にドアを配して奥の部屋への奥行きを見せるツュルヒャー兄弟やソフラブ・シャヒド・サレスみたいなフィックスが多く、中でもレザがベッドで寝ているシーンはサレスの『Still Life』そっくりだった。イラン映画の系譜を感じるなどした。娘が観てる映画も、多分日本じゃ観られないようなガチレア映画っぽいので、若干羨ましく…
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