MOON

明け方の若者たちのMOONのレビュー・感想・評価

明け方の若者たち(2021年製作の映画)
3.8
起承転結を求める人にはしっくり来ないかもだけど 私にはすんごく刺さった。こういう「あの時にしか味わえなかった青春」の話が大好きでたまらない。懐古主義とかではなく「あの時」のきらめきっていくつになっても思い出せるし愛おしい。まさに人生のマジックアワー。

「友達に引っ越しの手伝いに来てもらって飲み代をおごる」とか「オールナイトして薄暗い夜明けの街を歩いて帰る」とか自分の中の思い出と見事にシンクロしたし誰かのことが好きすぎて泣けて来ちゃう気持ちもあるある。すんごく普遍的な物語。

でもそんなストーリーの中で1つの秘密が隠されていて それが大きなスパイスになってる。この仕掛けには驚いたし「好きだよ」に対して「ありがとう」だった謎も解けた。最後の問いに対して彼女が答えた ひと言は救いのようでもあり呪いのようでもあったなぁ。愛おしさと苦しさで心ぐちゃぐちゃになるやつ…

何者にでもなれると思っていた20代前半〜理想と現実の狭間で悩み苦しみながらも目の前にある現実に馴染んでくる20代半ばまでの挫折や成長をリアルに繊細に演じきった北村匠海くんに拍手👏 確かに今その時代を生きている人の温度。湿度。ガンガンに伝わってきました。切ない思いも痛いほど感じられ涙しました。

屈託なく笑う笑顔の裏にどこか空虚感や哀愁を漂わせる黒島結菜ちゃんも素晴らしかった。

そして今作で初めて拝見した井上祐貴さん。ナチュラルなお芝居で 尚人としてそこに存在してたのすっごく良かった。今後もちょっと注目したい感じがありました。

ベッドシーンそこまで長くやる必要ある?とは思ったけれども そこ以外は入り込めたし 景色や色彩の美しさも印象的で とても好きな作品でした。

あとマカロニえんぴつのエンディング曲がめちゃくちゃ良かった!心に刺さった〜
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