ヴィクトリー下村

ボーはおそれているのヴィクトリー下村のレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.0
前情報の段階で何となく「悪夢を詰め込んだような内容なんだろうなぁ」と思ってたら誇張なしにそんな内容だった。
これアリ・アスター監督が「起きたら嫌だなと思うシチュエーション」をひたすら詰め込んだだけじゃないかな。

そもそも「観る者に負け犬の体験をさせたい」と監督が語ってる時点でマトモな映画なわけがない。

ただ普通、そんなのばかり見せられたらダレるところなんだけど、これが全然そんなことない。

『ヘレディタリー/継承』や『ミッドサマー』もそうだけど緊迫感と引き込む演出が上手いから集中力が全然途切れない。

加えてホアキン・フェニックスの存在感。
3時間出ずっぱりなのにスクリーンから目を離せないのはさすが。劇中の6割以上は怯え顔だったけど。

作品の想像以上のスケールに驚いたし、これを映像として撮ってるのも凄い(興行的に大赤字らしいが)。頭の中のイメージを映像化するのも上手い人だと思う。

後、これまでのインタビューでも「家族」に対しての嫌悪感を語ってたけど、アリ・アスター監督が家族を「呪い」として考えてるのは良く分かった。

鑑賞前はつまらないことも覚悟して観に行ったんだけど、もう一度見返してもいいくらいに好きな作品だった。観た後は疲れることは間違いないが。

といっても本作は物好きのための作品だと思うのでお薦めはしません。気になる人はチェックしてみたら。