YoshihiroToda

ボーはおそれているのYoshihiroTodaのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

終始不安を抱える超ネガティヴ男ボー。

※ 以下は私の勝手な解釈です

この映画は大きく5つのパートになるかなと思う。
・自分の家がある街
・他人の家(療養所?)
・森の中にある劇場
・母の家
・裁判

極限まで不安を抱えてる人にとったら、
日々の生活もそりゃ大変。
実際、私自身の身の周りでも
不安なことが起こっている。
犯罪も常に起こってるし、災害も多い。
戦争もそうだ。
それでも私はどこか他人のことのように見ているから、うまく回避できているだけであって、自分ごとにして生活してると不安だらけで押しつぶされる。
もしもクレジットカードが急に使えなくなったら。もしも誰かにカギを盗まれたら。もしも医者から言われたことがちゃんとできなかったら。
誰もが想像できる不安は結構すぐ近くにある。

そんな不安だらけの街から離れた場所に移った2つ目のパート。場所が変わっても、不安は変わらない。街と比べてだいぶ穏やかな風景でも緊張感が漂う。
なんせ出てくる人たちが胡散臭い。

3つ目のパートは唯一ボーが理想を描いたパートかなと思った。ボーも変わりたいと願っているのだと。
それでも急にその理想を壊すヤツ。
襲ってくる。

そして真実を知ることになる4つ目のパート。終始不安にさせた理由がわかる。
アリアスター監督が他の作品でもテーマとしていた呪縛性。家族、家系といった逃れられないモノ。
勇気あるもう1人の自分は屋根裏に閉じ込められたまま。そして何だあのナニw
母親に奪われたものが屋根裏に、ということか。
そして、そんなある種呪いから逃れたいともがくボーが一歩踏み出す。

解放されたと思ったのも束の間、また不安が押し寄せてラストパート。
本当に正しいことをしたのか審判がくだる。
GUILTY
罪の意識で転覆する。


不安だらけの今の世の中。
その檻の中に閉じこもったままでいるか
勇気をだして外に出て行くか

そんなことを思いながら観てた映画でした。
主人公に感情移入してもよく理解できないし、客観視し過ぎて観ててもむちゃくちゃすぎる。ちょうどいいバランスで観ないといけない点が私として少し難易度を感じた映画でもありました。
それでも最後までどういうことだ?と惹きつける力はやっぱりすごいし、最初のパートは結構笑った。
なんだあの踊り続ける男。
ボーの家入っても踊り続けてるし。
なんだあの裸で襲ってくる男。
めちゃくちゃ怖いやん。
風呂の上にいたのも笑けた。
腹上死で固まったまま、どこかへ持っていくのも笑けた。

3時間はなかなかの時間でしたが、見終わった後もずっと映像が鮮明に覚えてて思い出せれるのはやっぱり魅力的。
お見事です。
YoshihiroToda

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