このレビューはネタバレを含みます
本格的にA24作品にハマり始めた昨年春。公式をフォローして、初めてボーの予告を観た。なんかやばいすごい作品がくるぞ…!そしてそのままインタビュー動画でアリ・アスター監督を初めて拝見。こんな穏やかそうな人が、親しみやすいニッコリ顔で「観客たちをどん底に連れて行きたいんだ」みたいなことを言っていて、もう最高にぶっ飛んでて一瞬で心を掴まれてしまって、A24グッズを買ったりして日本公開を心待ちにしていました。(おまけにボーのポストカードがついてきた!涙嬉)
NHKドラマ「お別れホスピタル」で、家族という存在を愛とか絆のようなポジティブな要素で捉えられない人の話を観たばかりなので、ボーや監督自身の家族観(義務の鎖みたいな感じ)がとても興味深かった。
冒頭。あんなに不穏に出産を演出した映画を私は他に知らないし、あぁ、ボーがついに生まれてしまった、と気の毒に思った。
ポップな舞台の場面になってもとにかくなんか不安で不穏。子供の頃にディズニーランドの白雪姫に乗ったときを思い出す。なぜ子供向けなのにこんな暗くて怖い魔女が出てくるのか理解できなくて、大人も子供もみんなこれに乗って喜ぶことが普通で求められてるんだろうな、でも自分はあんまりこれ好きじゃないよ、それよりピザ食べたいよ、と親に言えなかった。笑
ラストの船を漕ぐボーを観て、トゥルーマン・ショーみたいと思っていたら本当に照明がついて観客に囲まれてる場面になったのでなんだかもう興奮が頂点に達して達成感でした。ボーは母の羊水に帰ったみたいな解釈もあるみたいで、そんなのもとっても良い。
昔カリフォルニアのとある街に住んでいたことがあって、近所にボーの住んでいる街を少しマイルドにしたような、ステーキみたいな名前のエリアがありました。おじさんが裸でこちらに猛ダッシュしてくることはさすがになかったけど、それがこんなにも怖くて絶望と興奮に包まれること、知りませんでした。新しい発見。
「哀れなるものたち」ではお下品!最低!好きじゃない!とか言っていた私が、屋根裏部屋のパパをみて大笑いできる要因って一体なんなんでしょう。自分が信じられなくなります。
最高のアトラクションでした。また乗りに行きます。