おそば屋さんのカツカレー丼

ボーはおそれているのおそば屋さんのカツカレー丼のレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.5
ボーは多くの(仕組まれた)不条理に見舞われて、どんどん追い詰められていく。作られたスキゾフレニーの世界。原因が無いのに、怒鳴られる、襲われるなど結果だけを外部から浴びせ続けられる。そんな時に逃げ込みたくなる安全な場所とは…

人が母親の子宮から産み落とされるときは本当にあんな不快な音がするのだろうか。
どんな親の元に産まれるか不条理さが喧伝される昨今ですが、そもそも人は親から産まれざるを得ない訳で、そうである以上、親がいるということからは逃げられないことが根本的な不条理なんじゃないか。冒頭のシークエンスや、衝撃の屋根裏部屋がそう告げているように思えてならない。
演者の顔を正面から写したりと、平面的な画面が目立って、最初からなんか気持ち悪いなと感じていたが、あのラストを知ると、それらの画面構成が凄く作為を感じさせるものになっていて、見事な演出だったなと膝を打った。全てが壮大なドッキリであり、あらゆる人々が仕掛人で、裏ではボーの姿を見て笑ったり、上手く演技できたかドキドキしているのかなと、妄想が膨らみ、1人の男の人生がコントとされていることに不気味な恐ろしさを感じる。
とはいえ3時間という長さはそこそこキツくて(特に観劇の辺りは時間的にも疲労が出てくるタイミングで、終始唖然としてしまった)、『ミッドサマー』はそこそこ長くても、何度も観られるが、これはもう一度観たいとはあまり思えないし、自宅のTVで観たとしても耐えられる自信がない。