おそば屋さんのカツカレー丼

グッドモーニング、ベトナムのおそば屋さんのカツカレー丼のレビュー・感想・評価

4.4
何年にも渡って、父がしつこいほどに薦めてくるので、いよいよ鑑賞。
最初はクロンナウアのジョークの面白さも分からず(だんだん笑えるようにはなる)、ただただマシンガントーク(台本?アドリブ?)に圧倒されていたのだけれど、徐々に彼の声の持つ意味が見え始めてくると、ドラマとしてグッと面白くなってくる。戦地において、ラジオが数少ないメディアなのであれば、政治的対象になることは避けられないし、それによって真実を語れないことと、連発されるナンセンスなジョークが相乗的に意味を持ち始め、クロンナウアのマシンガントークすらも、彼のもどかしさを含んだ叫びのように聞こえ出す。人は大事なことを話さないためにおしゃべりになる。クロンナウアがジープで直接兵士の前でその話術を披露するシーンなんて、哀しくて観ていられない。
映画は、クロンナウアの乗った飛行機が飛び立っていくシーンで幕が下ろされる。良くも悪くもベトナム戦争初期を舞台にしたからこそ出来た作品であることも忘れてはならない。