IT坊や

ボーはおそれているのIT坊やのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

アリアスター最新作。
シュールで不気味、意味不明なシーンの連続で、ところどころ眠くなりつつも、地獄めぐりみたいな気分で一応楽しめました。

住居侵入を試みる刺青のヤベーやつとか、ペニスモンスターとか、ギョッとするビジュアルのやつもいて、思い切りの良さに爆笑。

また、ラストの母との攻防はかなり迫力があって、監督の作風を色濃く感じれて楽しかったです。ボウが最後に溺死するのも、ときに「海」に例えられる母性との関連を感じて、面白いなと思いました。

また、印象的だったのは、「私は愛を与えた。見返りは何?」というセリフ。

あれだけ振り切った毒親だから、嫌な言葉だなぁと自然と思うけど、果たして自分が親になった時に、これを思わないでいれるだろうか?子どもを、自分のメンタルの安定のために、完全に利用しないでいられるか?
そこは、他人事じゃないよなぁと思います。

仕事や生活、人生はただでさえ大変なのに、子どもの生命や衣食住を守りつつ、ちゃんと情動に働き掛けてあげて、色んな体験をさせてあげて、安心できる親で居続ける。そんな事をしながら、子どもには依存しない。
これって、すごい事ですよね。果たして、愛情の見返りを求めずに居られるのか?

これを達成するには、子どもを持つ前に、すごいバイタリティと情動制御力を鍛え、信頼できるパートナーを見つけるしかない。達成できるか甚だ疑問ですけど、でも、やるしかないよなぁ…。

母子関係の描き方が面白かったし、映像はリッチだし、シュールで楽しいところも多い。でも、流石に長いし、アート要素が強すぎて、とっつきにくい印象は拭えません。
だから、手放しで高評価ではないかな。でも、アリアスターの新作、劇場で観れて良かったです。
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