アキラナウェイ

ボーはおそれているのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.2
アリ・アスター監督の最新作のこちらといい、ヨルゴス・ランティモス監督の最新作「哀れなるものたち」といい、ちょっと頭がイカれている(褒めている)監督達のヘンテコ作品がここ最近続いているような。

大好きなホアキン・フェニックス主演という事もあり、楽しみにしていた作品。

アリ・アスターの名を映画界で轟かせた「ミッドサマー」は、何かがおかしいと居心地の悪さの底の底まで観客を落とし込むホラー作品だったけど、こちらはその居心地の悪さや不条理をとことんまで振り切らせて、更に着地点がわからなくなる仕様。

日常の些細な事でも不安になってしまうボー(ホアキン・フェニックス)。久し振りの帰郷を決めたその日、母が突然怪死した事を知る。しかし、アパートを1歩外に出るとそこはもう"いつもの日常"ではない模様。果たしてこれは夢か現実か…。ボーの不穏な旅が幕を開ける—— 。

流石のホアキンな訳で。

きっと不安障がいを患っているのだろう。ボーの日常はあまりに不安と恐怖に苛まれていて、とても健常者のそれとは思えない。しかもそんなボーという人物をホアキンが見事に演じ切っていて、何の不自然さも感じさせない程のハマりよう。

いやー、何がビックリしたって
天井のアイツだよ!!
天井で何をやっていたのかもわからない。あのシーンがこの作品の1番のクライマックスだったかも。

全裸で飛び出すボー。
ホアキン、身体張っているなぁ。

ボーのアパートの周りのカオスな集団。ボーが車で轢かれてしまった事で関わりを持つ事になる家族。森の移動劇団"森の孤児"との出会い。そして、母との再会…。

中盤辺りまでは何とかこちらもついていけるのだが…。終盤になればなる程、こちらも何だか具合が悪くなっていく病み加減。

アニメを織り交ぜる等して、演出は凝っているけど、アリ・アスターよ。いくら何でもやりたい放題だな、こりゃ。

彼の作品の中では、まだ「ヘレディタリー/継承」や「ミッドサマー」の方が、不条理の中に、まだ僅かながらの条理があった。こちらは不条理の極みで訳がわからない所もちらほら。

天井裏のアレは何なのよ。

終盤の展開は「トゥルーマン・ショー」っぼさを感じたかな?

頭がおかしくなるような展開を3時間見せ続けられるので、個人的にはちょっとしんどい。集中力が途切れた事もあるので、中盤以降の1.5hをもう一度観てみたいような…。いやこんな悪夢は二度も観ないでいいか。