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ボーはおそれているのwaoのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

めっちゃ面白かった。
最後のシーン、しんどいけど分かる。
自身の手で支配から解放されたのに、結局は(不健全な)葛藤で自縄自縛に陥る感じ、大なり小なり誰しも経験したことあるかも?
自己擁護と自己否定が自分の中に共存してて、なおかつ、自身は寄る方ない船の上でフラフラ不安定な状態。
原告側も被告側もボーの作り出した幻想ではあるんだろうけど、自己を守る考えではなく、追い詰める考え(しかも他者の感情の押し付けによって生まれた)を優先させる感じが、親による支配の強烈さだと思う。

モナさんがボーを愛してたのは事実だと思うけど、モナさん自身が親に愛されなかった欠乏感を、子から愛されることによって埋めようとしてたのかも。
モナさんはボー自身を愛していたというより、息子から「適切な」愛情表現を受けて、安心させて欲しかったんだろうね。
で、安心が満たされないと、ボーを責める。
ボーはそんなこと意図してないのに、度々母の口から語られる「愛されなかった母の悲しい記憶」を、自分が再演してしまっているのではないかと苦しむ。
ボーにとっては無条件に愛情を与えてくれる母はおらず、自分から常に愛情を与え続けないと怒り、責め立て、悲しんで、心理的に支配してくる母でしかない。
2人の関係に割り入る父性は不在。逃げ場がない。
愛情にまつわる親の矛盾した態度って、子にとってはかなりしんどいよね。

途中で出てきたロジャー家族もコミューンも、家族の形としては歪だったと思う。
でもそういう家族って結構ありふれてるし、そういうものなのかも。
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