ロアー

鳩の撃退法のロアーのレビュー・感想・評価

鳩の撃退法(2021年製作の映画)
3.3
主人公・津田の書く小説は果たしてどこまでが現実でどこまでがフィクションなのか。

その曖昧な境界線を見極めながら、自分は騙されないぞ!とばかりに前のめりで観たら面白いのかも知れないけど、正直、ダラっと寝そべりながら観た私にとって、映画自体は全然おもんなかったです。事件だけ追ってみると浅っ!としか言いようがない。

じゃあちゃんと座り直して、前のめりで眼鏡までかけて、じっくり真実を読み解こうじゃないか!と気合いを入れた時、漠然と襲ってくる不安感。
何だろう、この、ここにあるものだけじゃ正解に辿り着けないような気がするモヤモヤ感は。本当は62兆桁以上ある円周率の計算を、3だけで解かされているようなモヤモヤ感は。

私の理解力がないだけかも知れないけど、ぶっちゃけ映画を観ただけではまともな考察すらできなくないですか?

これはこうじゃないかな?という仮説のようなものがいくつか頭に浮かんでいるけど、それを裏付けるだけの根拠が映画を観ただけじゃ足りない気がして考察のスタート地点にすら立てません。

本来なら、映像という視覚が与えられたことによって得られる情報量が増える筈なんだけど、この映画の場合は逆に小説を読めば得られた筈の情報を充分に得られない、もしくは映像から見落とさずに拾い上げることが困難になっている気がして逆に目隠しされたような気分です。

原作者はこの映画の仕上がりで満足してるのかな?文章だからこそできる想像の余地にからくりのある小説はやっぱり映像化しちゃいけないよね。

なんて、お節介な考えが頭を過ったんですけど・・・

あれ?

さっき私、円周率を例えに出したけど、正確な円周率を知りたくなった時、もし『完全読解! これを読めば円周率の全てが分かる』って参考書が目の前にあったとしたら・・・

あれ?

私はいつから原作者は必ず自分の小説を完璧に映像再現した映画を望む筈だと錯覚していたんだろう?

ん、あれ?

もしかして・・・???

まあ、原作者の強かさはあくまで私の想像なんですけど、とりあえず参考書もとい原作が1100P以上あると知った時点で、私の正解を知りたい気持ちはさっと消滅したので、みなさんおやすみなさい。

追記: Twitter番宣でタンブルウィードと組んだ映画を読み解くための"津田からの挑戦状"なるクイズがあると知った瞬間、やっぱ映画だけじゃヒント足りてなくね!?と憤った私は5分ほどプンプンして目が冴えてしまいましたが、所詮は目を閉じれば秒で寝れる人間なので、みなさんおやすみなさい。
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