織田

茜色に焼かれるの織田のネタバレレビュー・内容・結末

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

逆風をこれでもかと詰め込んだ映画。もはや逆風ではなく虐風というくらい露悪的な形で主人公たちが虐げられます。色々と酷い。

まず登場人物たちの対話が薄っぺらくてきつい。息子の純平くんは思春期ゆえの気恥ずかしさとか異世代の大人と関わるシーンが多いということを考えれば分からなくもないですが、他の大人たち(と悪ガキたち)は最初から最後まで台詞が一人歩きしています。尾野真千子(田中良子)が唯一そうでもなかったんですが、これは冒頭の「田中良子は芝居が上手い」にかけていたんでしょうか……

で、主人公たちを執拗に虐げる無神経の数々です。実際に起きた池袋の事件を模した交通事故の件はともかく、出てくる人々が人でなし。

良子が働くホームセンターの店長も、風俗店の客も、旦那の旧友の芹澤興人も、熊木とかいう中学の同級生も、揃いも揃って人の心がありません。人間って本音と建前があって他者と関わる以上、その使い分けが必要だと思うんですけどね。常に自分が正で相手(良子)が悪だとでもいうかのように意地の悪い本音を隠そうともしません。自分と良子の二人しか世界に存在しないような言い草、態度。もうちょっと嫌味とかオブラートに包んだ言い方すんだろと思ってしまいます。極端なんですよ全部。

純平にしつこくまとわりつく悪ガキどもも未熟すぎます。執拗な付き纏い自体は暇な中坊であればあれくらいあるのかなという感じ。ですが、行動と言葉遣いがやばすぎて中学生の会話じゃないです。コソコソ話含めて全部がお粗末でした。

さらに言えばコロナ禍の描写、連呼される「ルール」、何度も出てくる良子の支出額テロップも断片的すぎて意味がわかりません。あまりにも良子と相手「以外」の他者の目線を無視していて、これは良子が主観的に捻じ曲げて見ている世界なのかとすら思ってしまいます。

ちなみに良子とケイが使っていた「舐められる」の表現は良かったと思います。あそこだけリアルを感じました。抑圧だの弱みにつけ込むだの、要はそいつが舐めてんですよね。
全体的には極端オブ極端な抑圧の虐げを、最後に勧善懲悪しましたというお話にしか見えませんでした。
織田

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