yujishibasaki

ヘカテ デジタルリマスター版のyujishibasakiのレビュー・感想・評価

4.0
ヨーロッパの黄昏と自嘲、新しき「自由の国」アメリカへの愛憎、そして物言わぬ東洋(への無意識的恐怖)。

ありし日の映像が高精細のカラーで映し出される一方、終盤、劇中においては「現在」にあたるはずのWW2の戦禍の様子がいかにもノスタルジックなテクスチャで映し出される。この転倒こそが、すでに歴史のデッドエンドへと導かれつつあったヨーロッパの倒錯を表しているよう感じる。
過去に生き、今を貶めるという、19世紀以降、不遜にも「今」だけに生き続けようとした文明が逆説的に行き着く、宿痾ともいえる悪癖。この映画は、まさにその悪癖を、うんざりするほどの美しさをもって再演している。
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