結婚を目前に控えるアニタ・エクバーグは、幼い頃離別した母からの遺産相続で古城を訪れる。そこで彼女は、自分の曾祖母がオカルトに傾倒し火あぶりにあった魔女だと知る。妻のお陰で吸血鬼となって生き続ける曽祖父は、エクバークを自分たちの仲間に引き入れようとする(が特に何をするでもない)。 後半『ポランスキーの吸血鬼』からの影響が見て取れるものの、全体のトーンが定まっておらず行き当たりばったりの展開で、脚本の存在そのものが疑われる。シリアスなパートは安っぽく馬鹿げており、コミカルなパートは輪をかけたように安っぽく馬鹿げている。映画における一番の犠牲者で同時に加害者がエクバーグで、全編にわたって陳腐な芝居を披露、しかも馬鹿げた衣装を取っ替え引っ替え、共演者に「ルクレチア・ボルジアかい?」と突っ込まれる始末で複雑な気分になる。 吸血鬼伯爵のあまりにあっけない最期には、流石に噴き出してしまった。演出家が面倒になって放り出したようにも見える。乾燥ミイラ化しながら燃えるそのさまは、オッソリオの次作『エル・ゾンビ I 死霊騎士団の覚醒』を準備している。