このレビューはネタバレを含みます
浮気を疑われ、逃亡する男の話。
主人公はトラブルが起こると、その場から逃げ出す男。
謝罪なり、言い訳をすれば済みそうな場面でも、すぐに消え去ってしまうんですよね。
その上、居候先での礼儀がなっていない事もあり、倫理的に不快に感じてしまう人も多いかもしれません。
個人的には、面倒事から逃げたくなる気持ちは分からなくもないし、それをここまで徹底出来るのは逆に凄いなと思ったり。
映画の後半には主人公の父親が登場しますが、この父親もまた輪に掛けた様な逃亡癖の持ち主でして。
「嫌な事からは逃げ続けろ!」と言い切ってしまう辺りは、もはや清々しさすら感じてしまいましたよ。笑
まぁ、最終的には迷惑を掛けた人達と向き合い、彼なりの謝罪を見せるわけですが、「なにか…なにか…」という、ぼんやりとした謝罪も面白かったし、父親が見せる微かな成長も良かった。
家族で年越し蕎麦を食べるシーンは、図らずもグッと来るものがありましたね。
そこで終えても良かったと思うのですが、最後の最後に恋人から浮気の告白を聞かされると。
この映画が描きたかったのは、ハートウォーミングな家族愛ではなく、あくまで「面白くなってきたぜ!」という台詞だったのでしょう。
藤ヶ谷太輔の鼻水が絶妙過ぎて、思わず爆笑してしまいましたが、本当に困った時こそ、映画の主人公になったつもりになる…というメンタリティーは忘れずに覚えておきたいところです。