ロアー

ライダーズ・オブ・ジャスティスのロアーのレビュー・感想・評価

4.5
シュールでブラックながらもどこかあったかい監督の作品が大好きなんですけど、これまで配信にもなくレンタルでも中々観るのが難しい作品ばかりだったので、こうやって普通に配信で観れることに何だか動揺してしまいます。

監督の作品を観るのもこれで5本目(脚本業のみの映画も含めるなら9本目)なので、監督ならきっとこういう話になるんだろうな〜と早いうちから結末に気づいてしまって、ものすごく辛い気持ちになりつつ、でも監督だからこそ大丈夫という安心感もありつつと心をざわつかせながら鑑賞しました。

イェンセン監督って、とにかく傷を抱えた人間の心の描き方がうまい。
今作では喪失を乗り越えるための段階、原因と結果、リベンジ(あるいはサンクション)といった要素と心の中の哀しみや葛藤、怒りがうまくひとつのストーリーにまとめられていて、深いところにすごく人間的な感情が描かれていて、これまでの作品の中でもとびきり完成度が高かったように感じました。劇中に出てくる「問題を抱えた人間は集まる」って台詞が妙にストンと腑に落ちたんですけど、イェンセン監督の作る映画の原点ってそこにあるのかも知れない。

でもって、監督の手にかかると「え、だって僕の映画のマッツは最初からこうだし?」と言わんばかりにマッツのビジュアルを破壊してくるのがデフォなんですけど、今回はめちゃくちゃ強い軍人という設定のせいか比較的マトモなビジュアルだった気がします(その分、ニコライに皺寄せが行っていたような気もする)まあ、坊主頭にヒゲモサモサな姿がマトモかと言うと、少なくともグリンデルバルドみたいなマッツをイメージしていたら「誰?」でしかないんですけど。

でもそんな見た目も心も屈強そうな役柄だからこそ、常に感情を顕にしなかったマッツ演じるマークスが感情を爆発させたシーンは壮絶でした。
思わずボロ泣きしましたもん。

これだからマッツの演技が大好きなんです。
これだからイェンセン監督の映画が大好きなんです。

監督にはもっともっと、このチームで映画を撮り続けて欲しい(そして日本はちゃんとそれを公開してくれ)。
ロアー

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