ShojiIkura

20歳のソウルのShojiIkuraのレビュー・感想・評価

20歳のソウル(2022年製作の映画)
3.8
 若くして癌で亡くなる実話が元の話し、と来れば涙なくして観れないことはすでに決まっている。幾多のそのような話の中で、彼、浅野大義くんがどのように生きたとえがかれるか、彼の死からどのようなエピソードが生まれたかが、この映画の肝となる部分であろう。彼が行った最大のことが、吹奏楽部の一部員でありながら応援玉「市舩Soul」の作曲をしたこと、エピソードは彼の告別式で164人もの参列者か、その「市舩Soul」を演奏したことだ。
 物語は吹奏楽部の活動を中心とした前半と、闘病生活を中心にした後半にわかれる。構成的にこの明確に前後半で分かれてしまっているのが惜しい。前半出てきた部活仲間たちが、後半はあまり絡まない。後半絡むのは彼女と母親。時系列的にそうだったとしても、前半の「市舩Soui」誕生秘話以外のエピソードは必要だったのかな、と思う。キラキラした青春と暗い影迫る闘病とを対比させたかったのかな?
 それでも、暖かくも生徒の前では厳しい態度を崩さずにいた恩師・高橋先生が一人の部屋で号泣する場面は一気に持っていかれた。その先生の発案で実現した告別式での演奏。この恩師に出会えたことが、大義くんにとっての人生の宝物だったのだなと思う。
 人の命とはと考えてしまう事件、出来事が多い昨今において、このような映画を観ることは、必ず限りがある命をどう生きるかを、いつも教えてくれる。
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