最初、ちょっと戸惑ってしまった。
なぜならこれまで見てきたインド映画と明らかに違う、ファンタジー的な作品だったからだ。
子供向けのアニメなどは神話をモチーフにしたお伽話的な作品がたくさんある。しかし映画になるとこれまで魔法を使ったファンタジーとかスーパーヒーローものは数えるほどしかなかった。
初めての作風に違和感を覚えつつも、途中から「これはインド映画の新たなる試み、挑戦なんだ」と感じてからは古い認識を新たにして作品を楽しもうと思った。
まずは冒頭のシャールク・カーンが何はともあれカッコいい！しばらくスクリーンから離れていたが、キングの健在ぶりを見せつけられた。
大御所アミターブ・バッチャンの登場、リアルで夫婦である主演2人の息の合った演技など、ボリウッド映画ファンの楽しめる要素は満載。ヒットした理由は作品の面白さそのものより話題性に富んでいたからではないだろうか。
その上で何かひとつ物足りなさを感じたのも確かだ。自分がインド映画に求めているものはハリウッドとは違う人と人との結びつきや心の機微である。CGはそれなりだし神話と愛の話はインド的要素を多分に残してはいるものの、どちらもが中途半端な感は否めなかった。というか、どうせならもっとはっちゃけちゃっても良かったのでは？
だがこの作品を否定しようとは思わない。
先に言ったように次作に続く新たなるジャンルへの挑戦なのだ。
私はむしろこの映画大国がなぜファンタジーやSFものが少ないか不思議だった。2026年とも言われる次作は今作が序章だったと思わせるスケールの大きな作品を期待している。
