のっち

都会の女ののっちのレビュー・感想・評価

都会の女(1930年製作の映画)
4.0
恐慌時代のアメリカ、田舎の好青年レムは値下がり続ける小麦を売るために都会へ向かい、ダイナーで働くケイトと運命的に惹かれ合い結婚する。しかし田舎で二人に待ち受けるのは父親の反対と男たちの粗暴な態度。

まず、非常に見やすくてわかりやすい。この年代の映画は確かにわかりやすくいが、ありきたりな良い話で終わるところを辛い現実と、その中のささやかな幸せを映している。
その辛さを真に受けられないレムに反して、真っ向から立ち向かうケイトの姿からは『都会の女』という題名がよく似合う。田舎の男の素足を見る視線や、トロフィーのように女をモノにしようとする姿は嫌悪感を抱かせつつも、現在にも続く問題。アパートで動かない鳥を可愛がる姿と対比して、田舎では元気な鳥を可愛がる姿は繊細なケイトの気持ちに寄り添いつつ、嵐をさまよう姿は都会で生き抜いてきた力強さが伺える。

京都国際映画祭にて
のっち

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