ワンコ

ミュジコフィリアのワンコのレビュー・感想・評価

ミュジコフィリア(2021年製作の映画)
3.5
【無題】

コロナ禍に加え、環境を考えて自転車で移動することが圧倒的に多くなった。

そうしたら、普段、平坦だと思っていた道の勾配が気になるようになった。

映画や買い物の際、明治通りを古川橋の起点から渋谷方面に向かうと、道路沿いを流れている川を遡る感じになるので、これは緩やかな上りが続き、急いでいる時は結構疲れる。
この明治通りの四ノ橋は、村上春樹さんの小説「ドライブ・マイ・カー」にも出てくる。

そんなことを後輩に話したら、京都だって、みんな平坦だって思っているけど、鴨川にそって緩やかな勾配じゃないですかと言われ、ああそうだと思った。

だから、この作品で、凪が鴨川沿いを下って自転車を気持ちよくこいでいるシーンを見て、上り方面に向かえと意地悪な考えがよぎった。

さて、僕は、この作品の原作を知らないので、原作に忠実なのかどうかも確かめようがないのだけれど、もう少し音楽寄りな内容でもいいんじゃないかと感じた。

学内紛争みたいなものはいらないし、まあ世界的になのだとは思うけど新しい交響曲が生れにくい状況や、現代音楽などの位置づけとかもっと触れてほしかった気がする。

僕には、オペラ歌手の幼馴染がいて、協会主催の公演で主演をしたことがあるので、そこそこ有名だとは思うが、食べていくのは本当に大変な職業だ。

日本の大手企業の中には、広告代理店の口車に乗せられて、海外のオペラ歌手の公演や歌劇のスポンサーにはなるが、日本のこうした活動には”非”積極的なところは多い。
国内のオーケストラだって、N響や読響は安泰かもしれないが、特に地方のオーケストラは息も絶え絶えな気がする。
人気スポーツのスポンサーも必要だとは思うけど、少し文化活動にも資金を出して、音楽シーンを支えてほしい気がする。
そうすれば、民謡や三味線は嫌でも、ママさんコーラスはやってみようかとか、少しへんてこな楽器の現代音楽にチャレンジしてみようかとか、もっと音楽に触れるきっかけも広がるような気がするのだ。

そう意味では、こうした映画作品は、重要なのだと思うけど、ちょっと、物足りない。
学内紛争は、白い巨塔で食傷気味なので、もっと音楽を魅力的にして欲しかった。
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