たく

うみべの女の子のたくのレビュー・感想・評価

うみべの女の子(2021年製作の映画)
3.6
幼馴染の男女が不器用ながらも自分の気持ちに向き合って行く話。どう見ても二人が高校生に見えるんだけど、中学生設定と知ってびっくり。性に関して何の恥じらいもなくあけっぴろげに描かれてて、最後までキスしない二人がセックスの時だけ素の姿になれるのが何だか哀しかった。やっぱり恋愛はキスから始まるのか本筋だよねと。
「イソップの思うツボ」の出演を覚えてなかった石川瑠華が本作では抜群の存在感で、青木柚の振幅振り切れた繊細な演技もなかなかに観る側の精神を引っ掻き回した。

海辺の田舎街に住む小梅は幼馴染の磯辺を何かと振り回す存在になってて、お互い気のない態度を取ってるけど何となくいい空気感。ここから小梅が初潮を迎え、唐突に磯辺をセックスに誘うところから二人がセフレになっていくというなかなかハードな展開。

磯辺が世間に背を向けた態度を取ってる理由がだんだん分かってくるサスペンス要素と、彼をセフレと割り切ってたはずの小梅が自分の本当の気持ちに気づいて行く姿がジワジワ進行する。ここに小梅に想いを寄せる鹿島と小梅の学校唯一の女友達の桂子が、学園青春モノっぽく絡んでくるのがバランス取ってる感じ。

自分の本当の気持ちに気づいて行く小梅のいじらしさに対し、磯辺パートのモヤモヤ要素が最後まで残る。磯辺のSDメモリの女性に兄との関係を予想してたら何もないし、時々亡霊のように現れる人影も説明無し(おそらく兄の亡霊)。タイトルが小梅とSDメモリの女性のどっちなんだというのも混乱させる。磯辺はたぶん小梅が好きなんだけど、世捨て人のような自分にはふさわしくないと思ったんだろうね。
たく

たく