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うみべの女の子のamuのネタバレレビュー・内容・結末

うみべの女の子(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

なんか凄い作品だったな、、


リアリティがある、というよりはもう生々しさがハンパなくて。ほんの少し、15歳だった頃の自分が脳裏をチラついた。

未読なので原作も読んでみたいと思った。(最近このパターン多い)

ほんとになんとなく選んで観たのだけれど、またしても良い役者さんに出会えた!という感動があったので、自分ナイスチョイスでした。

主演のお二人すごく良かったです。実際に中学生なのかと思ってややどぎまぎしながら観ていたのだけど、役者さんの実年齢が実際は結構大人で安心しました。?

友人役の前田旺志郎くんは是枝作品における子役での「奇跡」、それこそ中学生だった「海街diary」での演技がめちゃくちゃ良かったので、今作においても安定の演技を観ることができて嬉しかったです。語らずも小梅をどれだけ好きかが痛いほど伝わり、磯辺くんに対して感情を剥き出しにするシーンは見ているこちらも辛かった。

とにかく小梅役の石川瑠華さんと磯辺くん役の青木柚さんの醸す雰囲気と演技が自然でとても良かったし、作品全体の雰囲気も良かった。それからオープニングとエンディングのリンク具合もとても好きでした。

ただの思春期の恋愛とかもやもやとかではなくて、辛い過去を背負っていたりする部分、それぞれの感情の起伏などとにかくリアルに生でぶつかっていく様子は痛みも伴う思春期のリアリティで、ただ痛いだけではない強さのようなものを感じ、熱のある作品でした。

それから、話を投げっぱなしにしないところも良かった。きちんと、しかも良いタイミングで回収してくれると感じた。親子関係の距離感も自然だったし。最近観た作品ではその辺に違和感を感じるものが多かったので、今作の巧さには安心感さえあった。

演者にそんなにはっきり部位や行為の名称を言わせちゃう?とか、そんなにしっかり脱いじゃう?とか、はじめは戸惑いもしたけど、そういったストレートな表現がこの作品の良い生感となって活きていたと思う。

あとこれはこの作品に限った話じゃなくて作品を作る上である種仕方のないことなのかもしれないけれど、身近な人間が死んでしまったり、大病を患っていたり、家庭環境に問題があって、それを踏まえて構成されたお話が余りに多いなぁとは感じる。だから今作における小梅ちゃんの、失恋からの自意識の揺れはそれこそがリアルだったなと思い、主人公の素直な感情が表現されていたと思う。
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