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エンドロールのつづきのがらがらのレビュー・感想・評価

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)
4.0
『ニューシネマ・パラダイス』のインド版とでもいうべき、映画に魅せられた少年の話。

インドの片田舎の自然描写が美しく、少年の母が作る手料理は作り方も食べ方も本当に美味しそう。作中の映画館で上映される映画は当然インド映画で興味深いし、カーストに縛られる父の姿や、英語が話せる人間とそうでない人間との間で社会的な格差が出来てしまっている描写などでインドの問題も炙り出す。とにかく様々なシーンでインドの文化を体験できる作りになっていて、インドでしか作れない映画になっているのが素晴らしい。

映写技師ファザルは「映画は人を騙すもの」という一見すると批判めいたセリフを口にするのだけど、逆に言えば本物じゃなくても人を楽しませることができるというメッセージになっていて、まさにそれを体現するようなやり方で少年たちは"映画を作って"人を楽しませる。本物のバイクに乗ってなくても乗っているように見せることができるし、観ている側も分かっているのだけど、その騙されてる感が楽しかったりもする、映画って不思議だなと改めて感じる。

主人公が映画にハマるキッカケになった映画館の描写も好き。自分が子供の時、親に映画館に連れて行ってもらって映画を観た頃の気持ちを思い出した。今はもう通い過ぎて「ただ新作を観るだけの場所」という感覚になってしまったけど、あの頃は本当にワクワクしたなあ。
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