Yukenz

ふるさとのYukenzのレビュー・感想・評価

ふるさと(1983年製作の映画)
3.6
郷愁呼び起こす昭和の山間村で、少年とおじいが渓流釣りを通じて親密な交流を持つ。家族でなくてもこのような濃い関係性を築けたのは、田舎ならではの村社会の構造と、やはり時代に依るところだろうか。

今はもうない、ダムによって消し去られた郷里での温かくも衝撃的な出来事を偲んで映像化したものなのだろう。

思い出は今も残っているが、それを確かめに幼少期を過ごした懐かしの自然豊かだったふるさとを訪れることが叶わないのは、さぞ歯痒く、もどかしく、そして悔しいだろう。

日本の各地に、このような思いを抱く人たちが沢山いるんだろうと思うと、仕方ないんだろうけれど、なんだか切ない。

そして、老いによる痴呆との関わりについてもしっかりと意識せざるを得ない切実さも併せ持ち、社会派映画としても評価されるべき作品だろう。
Yukenz

Yukenz