ふるさとの作品情報・感想・評価

「ふるさと」に投稿された感想・評価

ダムに沈む運命にある山間の村に暮らす一家。
妻に先立たれた認知症の父(加藤嘉)と一緒に暮らす夫婦(長門裕之、樫山文枝)に中日ドラゴンズの野球帽を被った小学生の一人息子の四人暮らし。

加藤嘉の認知症の演技がなんといっても素晴らしい。眼球が本物の認知症の老人のように見える。
一体この人は俳優なのか?と思う。素人が演技をしているように見える程の演技力。

認知症のため母家を追われ離れに監禁された老人。ダムの底に沈むために故郷の村を追われる運命にある老人。
最後の抵抗とばかりに離れを逃げ出し、ドラゴンズ帽の孫を誘って川の上流へ大物の潜む秘密のポイントに行く。祖父から孫に魚釣りの仕方を教えるシーンがいい。

孫と二人で釣りに行き山の中で逝く祖父。冷たい病院のベッドで逝く訳でもなく、ダムに沈む前の慣れ親しんだ美しい山と川に囲まれて大好きな釣りをしながら最期を迎えたのに、こんなに悲しい音楽を当てることもあるまいにと思う。終末期の描き方は今とは大分違うと思う。

住み慣れた家と家族、失われて行く美しくものへの惜別の詩の一本でした。
近い将来、ダムの底に沈んで自分たちのふるさとが確実に消滅することを皆んな自覚し将来の不安を抱え先祖代々受け継がれた土地で最後の日々を送る人々。生まれ育ったふるさとから出て行くシチュエーションは数あれど、帰れば確実にそこに懐かしの山河があるのとは訳が違うこの想像を絶する現実。意に反したダム関連工事の仕事で糊口を凌ぐ長門、柏木夫婦とボケ老人の加藤嘉、隣に済む釣り好きな孫のような小学生との村での最後の日常を哀切たっぷりに描く佳作。『砂の器』での風雪に耐える父親像をも超える加藤嘉の感情の起伏激しいボケ老人が絶品、この年の各種主演男優賞納得の晩年集大成の名演。何にも増して貴重なのは現実の徳山ダム工事と並行して当時製作され、現在ではダム完成し湖の底となった自分たちの美しい山河をこの映画を通していつまでも見ることができるようにフィルムとして後世に残した功績だろう。
霖雨

霖雨の感想・評価

4.1
加藤嘉さんの演技が凄すぎて演技には見えなかった。

故郷がなくなるってどんななんだろう。
地元に久しぶりに帰るとお店がなくなってたり田畑が住宅街になってたり、少しずつ変化していてそれだけでもなんだか寂しい思いがするけど、でも帰ることはできるし面影は残ってる。

でもこういうふうに映像作品として残っているだけまだ良いのかな。
NO

NOの感想・評価

4.3

このレビューはネタバレを含みます

美しい自然を映す一連のカットの直後、ダム建設によりそれらが全て沈みゆくことを告げるナレーションが入る
そして山の爆破、ダム関係らしいトラックの列、それをただならぬ面持ちで睨むお爺さんが、白羽の矢が立った村の悲壮と憤りを代表する
…まだ立ち退きが終わる前に建設作業始まるんだ😟
…村民もその仕事するんだ😳

この空気感…美しい田舎…自分がここに放り出されたのかと錯覚する
一日の時間、季節の移ろいを五感でしっかりと感じられる
その日常に水を差す、ダム建設作業の容赦ない爆音💥
もう一つ辛いこと:じいのボケ問題😢
この映画最初からなんて希望のなさすぎる…と辛い
だからこそハッピーシーンで爆上がりになってしまう(笑)
まず多対一の水掛け合いは笑っちゃいましたね
この辺りから最高!
千坊と釣りに行く
笠被って魚籠背負って玄人の眼光
大きいの釣れた!と思ったらウグイはダメらしい
「名人の腕も落ちたわい」
大好きなシーンでした
ボケても自分の思入れ深いものはしっかり覚えている
魚釣りの思い出を話すところは全部真実なんだろうなと信用できる良さ
こういう人に筋が良いって褒められたらすごく嬉しい
昔大好きだったことをしたら脳が若返った!?
ハッピーな展開!!!!!!😭
アマゴ(ヤマメ)の串焼きおいしそう!
料理は出来そうにないけど魚の焼き加減は熟知しているらしい
夜遅くに急に、明日朝4時起きで2時間歩いて釣り行こう→行く!!!わかった!!!
この信頼関係よ🤦‍♂️
窓から覗くじい🤦‍♂️
千坊良い子すぎ🤦‍♂️
大雨でおじゃんになってしまったけど
ボケが寛解して騒がなくなったんなら母屋に戻ってきたらいいよねぇというのも束の間、釣り成分が枯渇してくるとまた怪しくなってくる…
釣りの場面はどれも素晴らしいので同じ気持ち

山にいたら一人でも寂しくない
山には生命が溢れているから
奥まったところに光が差し込んで秘境のような場所
これはたしかにレア度★★★★☆、★★★★★の獲物が釣れそうだ
こんなに美味しそうな日の丸弁当もなかなか無い
じいが倒れてしまい千坊は大人を呼びに行く
慌てるなゆっくりと言われたけどそれは聞けないぜ!🏃‍♂️💨
じいにはそれが見えているようで優しく諭す
こんな演出できますか?
家族を作る幸せをわずか1分半で分からせられたのも初めて

子供には人の死、村の死に現実味がない
大人だけが泣いている
まあ、学芸会の『故郷』はそりゃ泣くよね
我が子の成長と郷愁でぐちゃぐちゃでしょう
峠のトンネルは村の玄関口、出口
ここを通れば本当にお別れ
最後に長いクラクションを鳴らすのが粋でした
夏は楽しく冬は寂しい
冬が終われば春が来る
みお

みおの感想・評価

3.8
五千円あれば何でもできる時代に生まれ育って、森や川を愛したまま死にたかった

このレビューはネタバレを含みます

徳山村はダムに沈んだ村として有名だが、そこを舞台とした物語。おそらくダムに沈む村という題材のかなり早いものになるのではないかと思う。そこでの素朴な生活や老人の回復と死といったものは食傷気味ではあるが、1980年代の高度経済成長の限界から精神的・文化的消費を求めるようになっていった時代背景を失われゆく田舎に託していることがうかがえる。主演の加藤嘉の老人の演技もそうだが、樹木希林の近所のおばさん役もこんな人いるなあと言う感じで存在感を発揮している。
pecoritta

pecorittaの感想・評価

3.6

このレビューはネタバレを含みます

家族に囲まれ消えゆく故郷と共に美しい山に還ってゆく。理想的な死に方だなあと。
MeiMaeda

MeiMaedaの感想・評価

4.0
ダムで無くなってしまう村に生きる人たちのお話。
認知症になってしまった爺とその家族のありのままの姿が映し出されていた。

爺が子供と話してる時や、釣りに出かけている時は、認知がはっきりしているってところも印象的だった。
爺を認知症の老人として関わる息子やその他の大人たちと話してる時とはやっぱり違うんだな、って。

自分が生まれ育った村がなくなるというのはどうゆう気持ちなんだろう。
最後の日に子供と少し遠くの大きなヤマメが釣れる所へ行ったけど、釣りをしながら苦しくなってしまって、大人たちが迎えに来てくれて、村へ担いで帰った時に、峠から村を見渡した瞬間に、もう思い残したことはない、という面持ちで静かに目を閉じて息を引き取ったシーンが印象的だった。

爺を通して、昔ながらの日本人の生き方、在り方のようなものを感じられる素敵な作品でした。
まもなくダムになる岐阜県揖斐郡徳山村。
生まれてこの地で生きてきた伝三(加藤嘉)は妻を亡くし息子の伝六(長門裕之)、伝六の妻・花(樫山文枝)と暮らしている。
しかし伝三の痴呆症が進み伝六達は手をこまねいていた。
伝三はかつて釣りの名人だった事から隣に住む小学生の千太郎(浅井晋)と遊ぶと記憶が戻ったりしていた・・・。

『ハチ公物語』神山征二郎監督作品。
今作は私が小学生の時に年に1回の学校の体育館での映画鑑賞会で見たんですよね。
だから約37年ぶりに鑑賞になります。
すでにダムになってますがこの徳山ダムには行ったことがない(笑)
車で1時間くらいで行けるんですけどね。

小学生時分に見たけどほとんど憶えてないんですよねぇ。
加藤嘉演じる爺さんのボケっぷりに笑った記憶がある程度(笑)
そもそも小学生が見ても楽しくないでしょう。
いいおっさんになって改めて見て、故郷をこんな形に追われるつらさがよく分かる。
やっぱ生まれ育った場所ってのは多かれ少なかれ愛着はあるもんでしょう。

山と川の大自然も非常に美しく見せてくれます…が、この大自然は似たような場所は私にとってよく見る風景なので(笑)
まぁ、これが当たり前に見られる事が幸せなのだとは思います。
mico12340

mico12340の感想・評価

3.8
故郷がダム建設によってなくなるストーリー。故郷がなくなるってとても心が痛いです。お爺と孫が川へ釣りをしに行くシーンはとでも心が和みました。
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