ゴンフィ

コーダ あいのうたのゴンフィのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

この映画を見終わってタバコを吸いながら
余韻に浸っていたとき、最後まで残ってた感情は
本作で描かれる家族愛への羨ましさ。

コーダ(CODA)とは
Children of Deaf Adultsの略称
つまり、耳が聞こえない/聞こえにくい両親を
持つ子供のこと。
本作のヒロインはまさにそれである。

特に思い出すのは、作中で17歳の女の子が、
恋をしている相手に
親を小バカにされたことに対して、
「私が家族を守るんだ」と強く言い放つシーン。

両親への不満や、環境に対しての絶望。
周りとは違う青春時代を過ごす
思春期の彼女にとって家族の存在は
時に許容できない疎ましいものに
なりうるはずだが、そうではない。

聴者であっても家族への愛情の注ぎ方は
一定ではないし、
ろう者だから伝えられないものもない。

愛情深い環境で育った彼女だからこそ
家族からの愛、家族への愛に人一番
早く気付ける素晴らしい女性になっていたのだ。

大人になるにつれて、出会いと別れを経験し
家族への愛の注ぎ方を見つめ直す。
誰かに愛されていることの自認は、
誰かを愛することでしかできない。

そんな気持ちを「17歳の女の子」が持てるような
本作の家族愛、家族像に対して
羨ましい気持ちと、
それを感じ取れるように表現することができる
主演俳優の演技力の高さが
本作の最な魅力ではないだろうか。

一方、ストーリー展開はかなり無理がある。
本作の可食部は全て消化しきれてないが、
特別に感じた大トロのみを評価したい。