こーひーシュガー

コーダ あいのうたのこーひーシュガーのネタバレレビュー・内容・結末

コーダ あいのうた(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

【"ファックできて光栄です"―――『コーダ あいのうた』】

教え子の家族が耳の聴こえない「ろう者」だから、ネットで手話を少しかじった結果、勘違いにより「お会いできて光栄です。」と伝えられず「ファックできて光栄です。」の意味になってしまう。こういったコミュニケーションのすれ違いはよくある。普通こんなことを言われたら、は?となるが、父親は言いたいことを汲み取ってふざけて自分も同じように「ファックできて光栄です。」と手話で伝える。
このシーンの直前に父親は自分の娘の歌声の素晴らしさに周りの反応から気づいた。
自分では表現することもその表現を受け取ることもできないが、周囲の状況や推測などで間接的に発信者の感情や技術をキャッチする。
まさにこれがコミュニケーションだ。
それを上手く映像表現として描いている。
デュエットシーンをサイレント化して観ている者たちも耳が聴こえないようになった感覚になる演出もそれを体現している点でとてもよかった。
個人的にはルビーが大学に行くことを兄がどう思ってるかについてもう少し説明してもよかったのではないかとは思う。途中まで兄が賛成の立場か反対の立場かイマイチわからずモヤモヤした。
それ以外は文句なし。
心が浄化されるいい映画。