ユーライ

劇場版 呪術廻戦 0のユーライのレビュー・感想・評価

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
3.5
作画はTVシリーズに引き続き安定し動きまくるが、一本の映画として観ると原作の構成をそのまま団子にして繋げている歪さが目立つ。単話を連続上映しているような。ラストバトルも複数同時進行によって流れが寸断される弊害が分かりやすく出ており、テンションの熱量、持続共に13話に負けてしまっている。監督曰く「映画だからシネスコにした」そうだが、どうにもスカスカのだだっ広い画面に見えてしょうがなかった。原作を尊重して同じ構図を採用しているのがいけないのか、9話のような密度のあるレイアウトが欲しかった。百鬼夜行の舞台をわざわざ実在する東京新宿・京都を選んでいるにも関わらず、聖地的な実在感を感じられないぺらっぺらのミニチュアのような無人の街で戦っているようにしか見えない。設定上仕方ないにしても、街の奥行きをもっと使うべき。渋谷事変のような大虐殺は望むべくもない。各キャラクターがソロで活躍する様を繋げるだけのシークエンスは、アニメーターAMVみたいだ。ファンムービー以上のものになっていない。本編の色気の不足に対して、真希先輩は少年誌らしい健全な色気を振りまいていて大変良かった。対して里香の淫魔的な恐ろしさは不足している。オープニングから恋愛映画としてしっとりさせたい意向は伝わるが、「一途」が気にいっていた身からするとそのままエンドロールへの移行、「うん!」→♪ジャガジャガジャージャガジャガジャーが理想。尺稼ぎのようなスクロールの遅さも微妙に後味が悪い。総じて「映画のようなクオリティのTV」と比べられると弱いという幸か不幸か自家中毒のような作品だった。
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