トールキン

コットンテールのトールキンのレビュー・感想・評価

コットンテール(2022年製作の映画)
4.1
「家族」をテーマにした作品は当然数多くあって個人的に過去にけっこう見ているけど今作も非常に良かったし考えさせられるものがあった。高評価だけど感想や意見は色々分かれているので見るの迷ったけど純粋に見れて本当に良かった。

静かで淡々とした展開のお話で、それも良かったが何と言っても役者陣の演技力に自然と惹きつけられるものがあった。なんて言っていいのかな、役者が演じているお芝居そのものにグッと引き込まれてその作品の世界観に没頭出来て、ごく自然で当たり前のことかもしれないけど流石役者だなって思えるくらい、演じることでの表現力って凄いなって改めて思えた。(上手く言えてない気がするけど)
さらにカメラワークが独特で良かった気がする。その技法を用いてセリフを発している時の細かな表情やしぐさをしっかり映し出されていて、そのやり取りによってより感情移入出来たかなと個人的に思う。

リリーフランキーは例えて言うなら魂の抜けたような虚ろな表情を帯びて常に悲壮感漂ってるような雰囲気がとても良かった。そういう演技を自然と出来るのは流石役者だなって思う。錦戸亮は父親を気遣いながらも自分勝手な父親に振り回されて自分も感情を爆発させて父と対立する息子、という人物像をしっかり表現出来ていたし、木村多江は病気に侵されていく姿を自然と表現されていてその演技もすごいなって思えたし、ただその過程は客観的に見ていても何とも悲しい気持ちになって涙が出た。

ラストの展開は急に感情揺さぶられて涙ボロボロでした。良くも悪くも家族ってこう在るべきなのかな。仲の良い家族も悪い家族も切っても切り離せないのが家族ではないだろうか。親の立場として、子の立場として、思いはやっぱり口に出して伝えないと伝わるものも伝わらないし、時が経って時代や環境や関係性が変化していったとしてもお互いに寄り添い合える関係になっていきたい。
この家族の今後を見守りたくなるような、そう感じさせてくれる終わり方が良かった。
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