なお

ゆるキャン△のなおのレビュー・感想・評価

ゆるキャン△(2022年製作の映画)
4.0
"ここをキャンプ地とする"

山梨に住む女子高生たちで結成された野外活動サークル・通称"野クル"のアウトドアライフを描くアニメの劇場版。

先述の通り、アニメ本編では高校生だったなでしこたちが本作では立派な大人に成長。
いわばアニメ本編から正統に進化した、「ゆるキャン 社会人編」ともいえる内容である。

✏️成長
アニメ本編視聴済みの方ならほぼ間違いなく感じられる、このなんとも形容しがたい「温かさ」そして「懐かしさ」。

自分はついこの間アニメ2シーズンを完走したばかりだが、すっかり社会人となりそれぞれの道を着実に歩むなでしこたちの姿を見た時は感動すら覚えてしまった。

特に、なでしこの成長ぶりには目を見張るものがあった。
背筋がシャキッとして、アニメ版ではだるんと緩みがちだった顔が引き締まっていて…

またこれはなでしこの中の人・花守ゆみりさんの演じ分けか単に花守さんの声質が変わってしまったからなのかは分からないが、高校生の時よりも声のトーンがだいぶ大人びた印象。
もしこれが前者から来る要素ならば、声優のプロ魂というか技術には感嘆しかない。

目の前の仕事にひたむきに励みつつ、でもあの頃の青春や友情は決して色褪せていない。
自分もまるで野クルのメンバーだったのではと錯覚するような「同窓会気分」を味わえる。

✏️再生
物語の方もしっかりと内容があり、見ごたえ十分。
少子高齢化にあえぐ現代日本の、喫緊の課題のひとつである「地方再生」が本作の主なテーマ。

「今は使われていない広大な土地を蘇らせて、キャンプ場を作ろう!」
…という、ほぼ女子5人だけで取り組むには若干無理がある感がしないでもないが、そこはご愛嬌。

既にあるものを活用し、地域に住む人びとも巻き込んで理想のキャンプ場を構築していく過程は「地方再生」のお手本であり、なでしこたちの青春そのもの。

アニメ版ではトラブルらしいトラブルにぶち当たってこなかったなでしこたちが危機に直面する展開を描いたのも、個人的には秀逸。

アニメ版でもおなじみ、大塚明夫さんの低音ボイスでお届けされるアウトドアHOW TOも健在。
「キャンプ場の作り方」、ぜひご参考に(?)

☑️まとめ
その他、物語本筋とは関係ないアニメ的な描写のテクニックも光る。
やたらウマそうに描かれるグルメの数々、日々の細かい生活音まで完全再現。
(蛍光灯を付けたときの「ブーーーン…」という音が聞こえた時は「そこまでやるか!」と思わず天を仰いだ)

キャンプとなでしこたち野クルメンバーへの愛にあふれた作風は依然衰えなし。
なでしこが接客したあの女子高生たちのように、「好き」とはこうして受け継がれていくんだなぁ。

🎬2022年鑑賞数:79(31)
※カッコ内は劇場鑑賞
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