Jun潤

ゆるキャン△のJun潤のレビュー・感想・評価

ゆるキャン△(2022年製作の映画)
3.7
2022.07.01

アニメ、実写共に視聴済、原作は未読。
放映当時から人気は高かった気がしますが、コロナ禍の中で屋外キャンプ需要の高まりや、熟練者向けと思われていたキャンプに人を集めるアニメならではの緩さから、ブームを牽引してきた作品が、ついに劇場映画化。

学園ものらしい青春感は薄いし、キャンプをやるだけでは映画として成立しないのではと不安になりましたが、まさかまさかの大人になって野クルの皆が帰ってくる。
これはこれでオタクの怒りも買いそうですが、青春のその先という意味では大人になってからの話というのも十分にエモさ溢れる手法ではあるので、期待値は高めです。

山梨県身延町、本栖高校に在籍していたソロキャンプ好きの志摩リンと、野外活動サークル、通称“野クル”のメンバーである各務原なでしこらは、就職してそれぞれの道を歩み出した後もキャンプでできた縁が繋がっていた。
山梨、名古屋、横浜、東京と、住むところも仕事もバラバラの5人だったが、元野クル部長の大垣千明とリンが再会を祝してお酒を飲んだ夜をきっかけに、今は閉鎖している施設をキャンプ場に改装すべく再び集結する。

む〜ん、エモーショナル…?
今作の鑑賞で別れた後の再会自体よりも、別れに至るまでの過程、再会へと繋がる心境の変化の方が個人的にはエモが摂取できるんだなと思いました。
しかしこれもこれでまたエモし…。

高校時代のキャラクターがそのまま大きくなって、高校卒業後に大きな挫折もなく、社会的、身体的に無事でいたんだろうなという安心感が、キャラの様子や会話から伝わってきます。
大人になってやることが大きくなっても、用意される部屋は相変わらず縦長の狭い部屋…笑
これもまた野クルの、『ゆるキャン△』の魅力の一つですかね。
高校生だったキャラたちが仕事をして、車を運転して、お酒を飲んで、好きなことをして、それがまた大きな幸せを生んで、と、これもまた確かなエモの一つ。

リンやなでしこたちの関係性が放つゆる〜い雰囲気も美味しそうで垂涎ものの飯テロ作画もそのままで、あーゆるキャンしてるな〜と感じることができますが、その雰囲気のままやってることが“ゆるキャン”というより“がちジョブ”になってるので、おいちょいとケアレスミスが過ぎやしないかいと思うこともしばしば。

今作最大の特徴は、高校の縁をきっかけに再会して、一つの大きなことを成し遂げて、周りの誰かを幸せにするだけでなく、自分たちの現在やこれからが変わるきっかけになる、ということをストーリー全体で伝えてきたことですね。
過去は変えられない、けど今を支え、未来を変えるきっかけを与えてくれる、そんな風に感じさせてくれます。

あと個人的に序盤と終盤でなでしこが働くアウトドアショップに、かつての野クルメンバーのように、本気ではなくゆる〜くキャンプを始めようとする女子高生に、かつてのなでしこがされたことと同じようにそっと背中に手を添えてあげていたのは、エモ指数ブチ上がり案件ですね。
Jun潤

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