ニューランド

スチャラカ社員のニューランドのレビュー・感想・評価

スチャラカ社員(1966年製作の映画)
3.3
☑️『スチャラカ社員』及び『日本列島震度0』▶️▶️
ほかでも書いたが、このところ、大方下書しておいたのが、次々消えてかなりの量となり、記憶で修復中も、結構大変だ。確認しての削除ではなく、指が滑っただけで簡単に消えてしまう。3~4日くらいは保護して欲しいが。
『スチャラカ社員』。確かにこれは、より痛快作だが、映画的により自由に翻訳した終盤だけが、キートン·ロイド·マルクス兄弟·チャップリン並みに凄い(森田芳光の唯一無二の傑作『家族ゲーム』を先取りめ?)だけで、それまでも、吉本の舞台の、キャラがその出自や因果をいつしか離れて、謂わば芸人たる自分らだけの世界への過剰サービスで、乗せて乗せてはたらいてるような、ギャグが一応並んでるのだが、映画はテレビにも増して、(舞台の)瞬時反応·閃きの天才演技をスポイルしてしまうメディアなので(エノケンやクレージーでも、比べると映画は面白くないという。ミュージカルだってそうだ。オペラのゼフィレッリが云うように、不特定多数·無教養雑多人種に向け、甘くトーンダウンしてるのが映画で、本格への入門編でしかない)、舞台(·そのTV生中継)を実際に見てる人が観ると、こんなもんじゃないと云うだろう(流石に私もこの後の『てなもんや』以降しか観てないが)。それでも前田は変に映画的に直さずに素直に捉えていると思う。(所属の関係でオリジナルメンバーもかなり欠けてて、)極低予算·即席·限界で、ペースや美術ものろめ平板だが、任せ流さずに、カメラ前後や横へ回るめ移動、切返しや·細部足元手元や角度取り、破天荒シチュエーション、字幕や挿入·並行エピソード入れ、が手抜きなく押さえられてる。その中で吉本新旧をかなり、歌謡界や青春スターも、森乃福郎までも出てはいる。
そこから足場を飛び立ち、終盤は、一挙映画·舞台を超えた天才だけが躍動しているのだ。映画だけの特性をフルに活かし·ピッピッと清冽に刷り込んで。倉庫持逃げ犯らが、トラックを停めての食事休憩に、ルーキー新一が店員に扮し、目を盗み(+映画勝手編集で)カラ皿を何回もすり替えるのは、パイ投げ仲間割れを呼び込む為かと思うと、もう邪気ある自分の悪戯充たしだけが突き動かしてるようで、コーラや消火器から吹き掛け、多種スパゲティ投法、店員·他の客波及四すくみ、更に駆けつけた藤岡弘の強弱超えた活躍格闘と·遅れ駆け付け長門勇らの車の走行中分解のカットバック、更にルーキーは冷蔵庫内凍結·ワルの南道郎はデモで裁ち割ったポストから銃を構え額から血で発見。そして、ライバル2社·手打ちと独自路線確認の後、何故か大阪中のスピーカーから『骨まで~』が流れる。コマ落としや、切返しやカット内消失、どこから?急に手元に道具、らが舞台のスピード·才すら超えて、あっけカランと突き進む。シュールや阿吽呼吸まで置き去りにされる。
ビル屋上の、掘っ建て小屋の「都田物産」。女社長金策飛び回り、5人の社員在庫押売から·何でもガラクタリースに活路。関西独立運動ーTV企画、にも参画。大型外資系リース社業が階下に出現、対抗。それを利用、2社の品を納めさせての、大量持ち逃げ犯を、紛れ·追い·大乱闘に。ライバル社、感謝·融資で、経営·愛社精神復活へ。
---------------------------------------------------
我々がリアルタイムかそれに近く、前田(陽)作品を観るようになったのは’70年代以降で、その頃の印象は、昭和ヒトケタ世代の悲哀等を背負ってて、ちと見るのが湿っぽくてやだなぁ、という感じで、後に知る、’60年代の、才気煥発·後腐れを吹っ切る捻りや弾力、の名残を認める事は難しい(代表作とされる『神様の~』も’60年代傑作からは並べられない)。この作品『喜劇 日本列島震度0』も20世紀には観てて、当時も感心しなかったが、見直しても内的にそそくさとくるは少ない。
リリカル·ユーモラスでまぁ着実も、顔のアップの割合大で安易と思ってると、終盤、問題の時刻間近になり、それを意識の人·無関心な人·都度状況、のCU中心がせっつき、細かく行き来する内的うねり高まる危機感モンタージュで、やや流石の才と納得す。
東京下町、代々稼業の足袋屋から、パチンコや派手な自己アピール、に精出してる中年男が、念願の地震対策委員に選ばれてハッスルが、心寄せる女占い師の預言で、東京大地震の日時を得て、八丈島避難計画を立てるも誰も相手にせず、当日島には2人だけ。能天気な、来なかった人らの忘れた、2人の幼少時の失われたもの·闇への想いの共通も甦る。しかし、女の身体と財を握るサラ金の男も現れ、彼女を地震の有無で賭ける事に。「彼女を信じない方に賭けるとは」と勝ち誇るも、東京では何事も。しかし、当地で、震度5·都内ということで逆転勝利。サイドストーリーとして、賭事苦で勤める区役所の横領·御用に至るだらしない男(ら)を支える、しっかり者の、主人公の娘の話も。
ニューランド

ニューランド