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女と男のいる舗道のgenarowlandsのレビュー・感想・評価

女と男のいる舗道(1962年製作の映画)
4.0
わかりやすいゴダール作品は珍しい。愛の探求者の理想と現実の経済的生活の間で揺れる人間を描いています。哲学者ブリス・パランがカフェでアンナ・カリーナと対話するシーンがメッセージなのでしょう。哲学者の言葉に委ねた表現者の葛藤は、わかるようでわかりませんでしたが、シンプルなストーリーで章立ての実験的な作りで、ゴダールの日常から生じた(政治思想ではない)思想がストレートに伝わってきました。ゴダールはアンナ・カリーナを通して、自分語りをしています。

あらためてアンナ・カリーナはミューズというより、ゴダールのメディアなんだなと思いました。この数年後に二人は別れていますが、自身の哲学を哲学者に代弁させている一方、美しさ以外のアンナの人間性が深掘りされていません。その辺りを排除した人形劇のようにも感じました。

章立ての構成と洗練された台詞、絵画的カット、哀愁ある音楽。アート作品として、ゴダールの真髄を感じます。深みがないのが唯一の難。ゴダール作品にそこはもともと求めていないから、好みでした。

🎬️「女は女である」「野火」「アメリカの裏窓」のポスターがカフェの背景に貼られていました。
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