netfilms

ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガードのnetfilmsのレビュー・感想・評価

3.5
 前作から4年、用心警備のスペシャリストであるマイケル(ライアン・レイノルズ)は相変わらずダリウス(サミュエル・L・ジャクソン)に縛られている。彼と出会ったところから運気は下がり始め、前作に登場した元カノも既にここにはいない。人を散々殺めてきたプロの殺し屋はマイケルにとってはさながら疫病神で、すぐにでも記憶から消去したい存在なのだが、どういうわけか2人の腐れ縁は延々と続く。前作はアメリカでは驚異的なヒットを記録しながら日本では配信オンリーだったが、その続編は晴れて劇場公開と相まった。人を殺める者と守る者のコンビネーションこそがシリーズの妙だが、今回はそのマイケルとダリウスの腐れ縁に、ダリウスの妻ソニア(サルマ・ハエック)が割って入り、更なる混沌を産むのだ。前作はダリウスの裁判所への護送の一部始終を描いたが、今作ではギリシャの大富豪アリストテレス(アントニオ・バンデラス)が地球を危機に曝すようなサイバー・テロを企てる。バンデラスとサルマ・ハエックと言えばロバート・ロドリゲスの『デスペラード』を真っ先に思い出されるが、今作のソニアはかつてアリストテレスと恋仲にあった曰くありげな役どころを演じるのだ。

 とはいえ脚本はほとんどガバガバで、ほとんど破綻しているのだが今作に繊細な脚本など求めてはいない。マイケルとダリウスのダリウスの迷コンビぶりは『リーサル・ウェポン』のメル・ギブソンとダニー・グローヴァーとの丁々発止のやりとりを21世紀によみがえらせたかのようだ。典型的な巻き込まれ型のマイケルはダリウスとソニアのトンデモ夫婦に振り回され、ひたすら命の危機に晒される。それでも彼は用心警護なのにもはや銃を持つことを辞め、専らペンと催涙スプレーで武装するだけだ。その上今回は傍若無人でフリーダムな存在だったダリウスよりも更に強力な恐妻がゴキブリちゃんの股倉をずっと握り続けるのだ。80年代後半〜90年代初頭の雰囲気を持ったアクションは良い意味で既視感ありありで懐かしい。今や中堅俳優からあたま一つ抜けた存在感を誇るライアン・レイノルズも、今年でなんと73歳になったサミュエル・L・ジャクソンもトレードマークとなった「マザフ○○カ」連発で本当に楽しそうな雰囲気が伝わる。おまけに今回はマイケルの義父で、彼を半人前のボディガードに育てたあの人も登場し、マイケルの知られざるルーツやトラウマが明かされる。いかにもB級アクションの雰囲気満点の作品は、ポップコーンにビールで高笑いしながら気軽に楽しみたい愛すべきおバカ映画だ。
netfilms

netfilms