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三人の女のbluetokyoのレビュー・感想・評価

三人の女(1977年製作の映画)
3.9
これは、結局、さっぱりわからんけど、見てしまうなあ。ストーリーもあってないような感じ。終始、不穏なBGMとかみ合わない会話、しっくりこない居心地の悪い人間関係。そのわりには、逆に、まったりしたゆるそうな人間関係。そういった感じで、話は進み、後半、がらりと主人公のピンキーが変貌してしまう。しかし、この変貌を当たり前のように受け入れてしまっている。

ピンキーが、高齢者のリハビリセンターに就職したところから。仕事内容は老人を温水プールにいれたりする係りである。で、仕事を教えてくれたのが先輩のミリーである。本当の主役はミリーのような気もする。

ミリーはどういう女性なのだろうか。どこにでもいそうな、あるいは、誰にでも共通しているような人物なのである。あるあるな感じ、ということだ。上司にピンキーに仕事を教えてやって、と言われると、あからさまに嫌な顔をする。えええ、なんでわたしが、ほかの人に頼んでよお、めんどくせえ、という表情。それでも仕事なのでよそ行きの笑顔でピンキーに愛想よく接する。ここって、給料安いのよ、なんて嫌味を言ったりしながら。

対するピンキーはどういう女性なのだろう。天真爛漫というか、天然キャラというか、ひとの目を気にしないというか、あまり器用でないというか。つまり、ミリーとは正反対なのだろうか。

先輩風を吹かせるミリーについてさらに。人好きのしないミリーなのだが、自分はいけていると思い込んでいて、やたらとおしゃべりで、ひとに話し掛けるが、実は、誰も相手にしていない。昼食のときは、男性職員の集まるテーブルに一人でいて、盛んにまわりにしゃべっているのだが、誰もまともに相手にしていない。可哀そうに見えてくるくらい。
ピンキーは、そんなミリーに、なぜか懐くのだ。ミリーがルームメイトを募集すると、すぐに応じる。

ということで、ピンキーは、ミリーの運転するクルマで、ミリーの家へ。途中、行きつけのバー兼レストランみたいな店、ドッジ・シティに立ち寄る。警察官のたまり場でもある。モトクロス競技場のようなバイクを乗り回せる所や射撃場もある。そこに、ウィリーという妊娠中の女性がいて、一度見たら忘れないようなでかい絵を描いている。
さらに、ミリーの住んでいる共同住宅のプールの底にもウィリーの絵が描いてあったりする。
ちなみに、ウィリーは、無口で一言もしゃべらない。たいてい、絵を描いている。

ピンキーが、ガラッと変わるのが、ミリーに、あんたなんかつまらないわ、いつでも出て行って、と言われて、プールに飛び込んで意識不明で入院したあとだ。
ピンキーは、いけている女性になるのだ。男性に人気の女性になるわけだ。それまでは、ミリーにアゴで使われる感じだったが、主客逆転な感じになる。
で、最後は、ピンキー、ミリー、ウィリーで、ドッジ・シティのバー兼レストランを経営する、というか、ドッジ・シティ全部なのかな。

ようは、おそらく、ピンキー、ミリー、ウィリーは、一人の女性なんだろうな。それを別々の側面を描くと三人の女性になるのだ。
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