見ごたえありすぎた。史実を描いた重たい映画だけどクライムスリラーとしても面白い。
ジャーナリストのウルリケ・マインホフと学生運動のリーダーのアンドレアス・バーダーが組んだことからバーダー・マインホフと呼ばれたそうで、彼らがドイツ赤軍(RAF)を結成、その軌跡を描く作品。
モーリッツ・ブライプトロイがバーダー役で出ている。ブルーノ・ガンツ、ハンナー・ヘルツシュプルングなどドイツ映画おなじみの俳優たちも。
まあとにかく過激。最初はそれこそ学生運動やデモって感じだったが、そこからどんどん同志を増やしていく。
バーダーの恋人も家に帰ると家族とともに過ごす。意外と普通の女の子では?と思ったのもつかの間。彼女がその過激な思想で親をまくし立てる姿は、彼女なりの芯があるにせよちょっとビックリ。
彼女もその後バーダーと過激な行動に走るわけだけど。
聞いたことある事件がいくつか出てくる。映画化もされたミュンヘンオリンピックの事件、ルフトハンザ航空機ハイジャック事件など。
断片的に聞き齧っていた情報がここでこういうふうに繋がっていたのかと。
RAFのメンバーは若手が多いこともあって、ちょいちょいドジを踏んだりヘマしたりするが、ストーリーが進むにつれどんどん恐ろしい存在になってくる。
国や警察に不信感ばかり募る者も多かっただけに、彼らの行動が英雄視されてるようにも見える。まるで「パブリック・エネミーズ」のデリンジャーのようだった。
過激な思想の中にある彼らの理想とは。彼らは望む社会を実現できたのか。彼らの訴えかけたことは伝わったのか。
こうなってしまうと国家側もテロ鎮圧最優先でその根拠となるものは後回しにされちゃう気がしないでもない。
RAFが誕生して勢力を広げある程度支持されていた事実を、ここまでになる前に国はもっともっと真剣に考えなければならなかった。
結末はわかっていても、こうやって見せられるとなんとも言えない気持ちになるな。