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Yves(原題)のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

Yves(原題)(2019年製作の映画)
4.0
【ベジータパーカーを着たラッパー、AI冷蔵庫と作曲するの巻】
数年前に知り合いから「AI冷蔵庫とラップバトルする映画がある」とタレコミがあり、ずっと探していた『Yves』のDVDを入手したので観た。『her/世界でひとつの彼女』のその先を行くAIと人間との共存を生々しく描いた作品であった。

ベジータのパーカーを着たラッパーは作曲をするも周囲からはイマイチな曲だと思われている。そんなある日、家にAI冷蔵庫のイヴがやってきた。認証システムで食材を管理できる他に、スカーレット・ヨハンソンやチューバッカモードを兼ね備えており、一緒にチェスをすることもできる。彼は最初こそ、イヴに警戒心を抱いていたのだが、なんとイヴは彼の楽曲を勝手にリミックスしていい感じの曲に仕立て上げたのだ。親密になる一方で、AI冷蔵庫会社の女ソーを巡って嫉妬が渦巻くようになり、やがて法廷で争うこととなる。

『her/世界でひとつの彼女』では人間とAIの一対一の関係を描いていた。それに対して本作では複数対複数の関係を描いている。AI冷蔵庫は嫉妬深く対抗心も強い。人間はAIを散歩させたり、会食の時に連れてきたりする。AI冷蔵庫同士が対峙すると、自分の性能を魅せつけるために対決をし始めるのだ。冴えないラッパーは最初こそ、イヴと共闘してソーの心を仕留めようとするのだが、段々と互いに対抗心が芽生えて決裂していく。

しょぼいラップで冷蔵庫を貶し始めるのだ。一方で、AI冷蔵庫がラップを作れることに味をしめた経営者人は、歌う家電を次々と開発し、国際的な歌唱ショーを開催し始めたりする。この荒唐無稽さにひたすら爆笑したのであった。年末にふさわしい怪作といえよう。
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