Jun潤

キャメラを止めるな!のJun潤のレビュー・感想・評価

キャメラを止めるな!(2022年製作の映画)
4.0
2022.07.28

2017年に公開され話題を呼んだ「カメラを止めるな!」がフランスでリメイク。
原作視聴時の個人的な所感としては、ワンショットのゾンビ映画制作ストーリーよりも、低予算で単館上映された作品が高評価を受けているということが話題を呼んでいた印象。
ちゃんと予算とスタッフがついた状態では、果たしてどのような作品が生み出されるのか、個人的には要注目です。

制作予算は、リメイク元が300万円に対し、今作は400万ユーロ(日本円で約5億円)と、フランス映画にしては低予算に入るそうですが、邦画で言うと一般的な映画の予算と同額という、なんだか邦画の貧乏加減が浮き彫りになるという…。笑

日本で大ヒットしたワンカットゾンビ生放送チャンネル「Z」。
それをフランスでも実施することに。
実際に放送されたものは、違和感のある画面にぎこちない台詞の間。
エンドロールまで放送されたが、その作品の裏では、原案を制作した日本のプロデューサーからの要求や、クセのある役者たち、問題を抱えたスタッフなど絶望的な状況と、監督が作品作りにかけた情熱があった。

原作の方は劇場鑑賞ではなく話題性に振られてDVDにて視聴したため、上述の通り斜に構えていたのですが、ちゃんと観るとちゃんと面白いんですね。
あとストーリーも似ているというか、少し要素を追加しただけのそのままということもあって、ああこれは2回目見たくなるなというか、カレーと同じで2回目の方が楽しめますね。

個人的に意外だったのは割とストーリーを覚えていて、なんとなく次の展開や裏側の動きなんかも見つつ、フランス映画と邦画の違いを比較しながら俯瞰して理解できつつと二重に楽しめました。
そして前述の通り、今作では原作になかった、他国のプロデューサーというこれまた難しいミッションが…。
二国間のやりとりの様子は日仏の映画製作というよりフランス人から見た日本、フランスに行った日本人というような見方ができて、映画の枠に嵌めなくても楽しめましたね。

そして内容的にはやっぱり面白い!
原作が自主制作映画だったのに対し、今作はプロデューサーがついた“そこそこの”映画作りが本筋だったためか、制作の様子もすんなりと入ってきました。
序盤で画面に入っていた人より遥かに多いスタッフが関わっていることが明らかになるという、普段から映画を見ているからこそ見落としがちで、だけどだからこそ大切な、映画作りを支える全ての人の存在を忘れてはいけない。
原作の方では突き刺さらなかったのですが、今作を観てちゃんと、関わる人みんなで支えあって映画を作っているということが、ラストのクレーン(?)のシーンから伝わってきましたね。
もちろん離れかけていた親子の愛情、消えかけていた映画への情熱が映画制作を通して再燃することも。

映画製作に関しては置いておくとしても、日本は新しいコンテンツや設定を作ることに関しては世界トップクラスのうちに入ると思っているので、こうした形でも日本のクリエイティビティが発揮されるのはなんだか誇らしいですね。
Jun潤

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