リリー

ベネデッタのリリーのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
3.6
エログロでしたが面白かったのです。「神とキリスト教への冒涜」などと言われ、キリスト教信者からは反発を受けているようですが、シスターも神父も聖人などではない、欲にまみれた人間であるとの真実を描いているだけなのですね。冒頭の、ベネデッタが両親に連れられて修道院に入るシーンでまず院長の強欲に驚かされます。町山智浩さんの解説のよると、中世では修道院は親が行き場のない娘を「捨てる」場所だったとか(もちろん、純粋な信仰心からシスターになる人も多くいたでしょうが)。それで納得です。親は足元を見られるのですね。
ベネデッタも同様です。本当に彼女は聖痕を受けたのか、妄想なのか、ホラ吹きなのか、そもそも聖人なのか悪魔なのか、それこそ神のみぞ知る、ということでしょう。
最後にベネデッタは、キリスト教で原罪をもたらす悪の権化の象徴である蛇に別れを告げたのか否か、解釈は観る人に委ねられているようです。
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