ぜにげば

べイビーわるきゅーれのぜにげばのネタバレレビュー・内容・結末

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)
1.4

このレビューはネタバレを含みます

坂元裕吾監督作を見るのは初めて。
めちゃくちゃ話題になってて評判もすこぶる良かったので、大いに期待して観た。
結果から言うと、「合わない」の一言に尽きる。
想像してたのと違った。
めちゃくちゃノリがキツい。
喋り方がキツい。説明ゼリフも多いし。



以降かなり荒れてますので、見ない方がいいと思います。
殆ど好みの問題なので、好きな人にとっては悲しい気持ちになるだけなので。
まとまった文章と言うよりは時系列に沿って書いたメモをそのまま載せた感じです。


















まず1つ明確な批判として、「ナントカですよ○○さん」みたいなセリフを使って○○って人物の名前を紹介する手法、説明セリフ界のスライムとかクリボーみたいな存在だと思うので、絶対にやめた方がいいし、優秀な作り手はこんなの用いないと思います。
対象年齢が少し低めなアニメか漫画ならいいんですけど、ちゃんとCGで血飛沫を足してる今作は言い逃れできない。

本当に自分の感覚の話で申し訳ないけど、セリフの端々から“自分面白い”と思ってる感がひしひしと伝わって本当に観てられなかった。鳥肌を立てながら、思ったことをメモして観てメモして観てを繰り返さないと無理だった。
継続して見続けてたら精神が崩壊してた。

「オーシャンズエイト見てねぇのか」とか「エンディングスキップすんなスタッフへの敬意が足りない」とか、作品には沢山の登場人物がいるのにたった一人の人格が表に出てくるタイプの作品、本当に本当に嫌いです。
自分が呪術廻戦を見てた時に感じた嫌悪感を、こんな期待してた作品で感じるなんて思いませんでした。
言いたいことを言うために作品を“使ってる感”というか、元々私物ではあるんだろうけど、自分の作品を過度に私物化して、それを通り越してX(Twitter)化してるこの感じが本当に気持ちが悪い。
しかも全部の小さな主張(あるある)が目新しいものじゃなくて使い古されたものなのが本当にキツい。
「確かに!」と思うほど思ってもみなかった事でもないし…はぁ…。
午後の紅茶を午前に……
苦笑い。

多分だけど、ネタ帳(面白くない)みたいなものを脳内に持ってて、そこから自分が特に面白いと思ってるものを厳選して、冒頭のコンビニ後のやり取り等に入れたんだろうなと思う。気持ちが悪い。
耳刺された店員のしょうもないネタも、コインの裏表的な感じに受止めてしまった。
というか、説明ゼリフ以外からも説明を感じるんよな。
この、「店長はしょうもないやつですよ」っていう説明感。

演技の自然を装ってる感、という名の不自然が凄い。
浅いながらも是枝作品では絶対にないと断言出来る不自然感。
悪いのはキャストではない。

洗濯機にマガジン入れちゃうってやつはめっちゃいいなと思ったのに、その後に「ティッシュとかあるよね」って言っちゃう。
台無し。マジで黙れ。分かってんだよそんなことは。うるさい黙れ。
もしも殺し屋が洗濯をしたら~を解像度高く描いたのに、なんでそのあとに口で全部言うんだよ。
これもそうじゃん「~ってやつですよ」説明感。
黙れや。
僕は分かってますよ気づいてますよ感
あるあるに気づくパイオニアですよ感。
刺された店長が「ユーモアですよ」って、まるで説明しなくてもいいじゃんみたいなスタンスで言ってたけど、お前が言われろ。
なんで自分自身に言えないんだ?

「炎上させる人って暇なんかな」
取って付けたような自然な会話っぽさ!
うっすい!現実でも薄いのに、作品のセリフとしてならもはや聞こえないよ。

「情熱大陸出た時にでも喋ってよ」
雑だなぁ…。しかもそんな的を射てないという。

もひとつここいらで好き嫌いではなく批判をさせてもらうと、ちさとが捕まった時最初ガッツリ部屋の中見てたのに、その後「誰?」ってなるのは流石に無理がある。
途中向いてたやん。冷房云々言ってた時。
勿論やってること自体がダメなんじゃない。こういうのこそ映画的な演出であり醍醐味だから。本来なら。
言いたいのは、その映画的演出さえも下手ということ。
いくらなんでも不自然すぎる。
これもアニメとかなら許されるかもだけど、流石に実写じゃダメ。実写って立体ですよ?
「ははーんこれちょっとやばいやつだな」ってセリフのキツさも畳み掛ける。
今作を象徴するシークエンス。

その後も銃出さずにがま口からそのまま撃てばいいし、まあ設定的にちさとはそんなに殺し屋として優秀じゃないってことなのかな?

「癖が強いんじゃ」
あああああマジであああああ鳥肌があああああ…
「つまらないことを言う人」じゃないのよ。
つまらない。ど真ん中つまらない。
しかも正体がバレてる。
「未だに言う人いたんだ」ってセリフ、これ正体バレちゃいましたねぇ。
そもそもつまらなくない人は、芸人のフレーズを私生活で使ったりしませんよ。
“みんな昔は使ってた”って前提があるから“未だに”っていうんだよね。
仮に言ってなかったとして、千鳥のフレーズを安易に使っちゃう人面白くないよねって指摘する立場を貫きたいのかもしれないけど、千鳥のフレーズを使っちゃうキャラを作品に出すことも同義だと思うけどね。
ラバーガールの大水さんを起用してる感じも少しずるいと思ってしまう。

「~ツイッタラーみたい 嫌いだわあ」
もううるせえ黙ってろ例えんな何でもかんでも。
どんだけ思想強いねん。
お前だよ!全部お前!自分の事!コインの裏表!自分のこと言ってるって!マジで黙ってくれ。
M1云々…「私異端児ですか…」
ひとつの事にふたつも例えを出す例えたがり痛過ぎ…マジで見てられない。

ツイッタラーを見下すスタンス、M1で順位が高い芸人を取り敢えず推しとけばいいってスタンス。
根底にあるのは、自分は“まとも側“って思いたくて仕方ない、最早恐怖に近いもの。
「僕はこちら側です。そちら側ではありません。」
パフォーマンスに近い。
周りの人に、この人の脳内で言うところの「クスクス( ´艸`)そっち側なんだね」って思われたくないんだ。
イマジナリー陰口を恐れてやまないんだ。
まあこの感覚に関しては確証はない。もしかしたらって具合。

こんだけ自分でハードル上げといてメイド喫茶での掛け合いのツッコミは収まり悪いの、最早笑えるね。
コンプレックスなのか?

「ドルチェアンドガッバーナの香水のせい?」
これに関しては時事ネタみたいなところあるから批判するのは可哀想。
21年に観てたら素直に笑ってたかもとは思う。
ただまあ、電話越しの相手の声を流さずに「え?○○?」ってオウム返しして周りに伝えるセルフスピーカースタイルのセリフは、セリフとしては質が低いのは間違いない。
電話切られ後に「もしもーし!」って叫ぶやつの次くらいにはしょうもない。
ここまでセリフに説明感が一切なかったら多分めっちゃ面白いけど、地で説明セリフを行ってるからわざとじゃない可能性もある。
序盤から「ドルガバ」ってやたら言う伏線の張り方もちょっと分かり易すぎて好みではないかな。

あと思ってたけど店での声がでかいわずっと。
周りの人に聞こえてるって。
作品全体を通して主人公二人が極普通に暮らしてる感じを演出してるのは伝わるし、それはある程度上手いこといってたとは思うけど、流石にお店で話すシーンは雑な気がする。
わざとだろうけど、個人的にはダメだと思うかなぁ。
というか申し訳ないけど、相手方の飛永さんの演技が流石に演技っぽすぎて、これは演出じゃなくて本人の問題だと思うからそれもちょっと個人的には良くないかなと思う。

散々描きましたが最後にいい所を!
主人公二人は最高!他の監督の元での演技を見てみたい!
特に伊澤沙織さんの喋り方が最高だった。
アクションもかなりいい。
最後急に銃を拾うのを諦めたから、「ああ、最後銃を拾うと見せかけて不意打ちするんだろうな」って思ったら本当にその通りになって最後の最後にめちゃくちゃガッカリしたけど、それ以外の部分では基本的に楽しめました。

とはいえ総括すると大嫌いな作品でした。
この監督の作品は二度と観ないと断言出来ます。
まあ気づかず観る可能性はある。
今作にここまでイライラしてるの本当に珍しいんだろうなとは思う。
この監督が言うところの“異端児”なんでしょう。

映画監督だと福田雄一にかなりの差はつけられるが、彼に次いで第2位かな。ワーストのね。
個人的ブラックリストに登録です。
(セリフの説明っぽさとか立体を知らない感じとか、欠点がアニメなら自然と補われるのでアニメ監督になったらマシな作品は生み出せないこともないと思います。)
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