名前まではなんとなく聞いており、よくよく調べてみると第三弾までシリーズ化されていると知って、興味本意で鑑賞。
同監督の「ある用務員」と悩んだが、そちらから観れば良かったなと反省。
・良かった点
やはり伊澤彩織のアクションに尽きる。
特にラスト渡部との一戦はこの作品の白眉と言える。
むしろこのベストバウトを描くためにこのストーリーがあったんじゃないかというくらいである。
殺陣は型にハマりすぎると痛くなさそうだったり、次はどこから攻撃が飛んでくるかわかるまるで見聞色の覇気を使っているような動きになったりするのだが、実際に当たっている重みも伝わるし、避ける動作というより、相手が当てづらい方へ向かっていくという動作もすごく良かった。
昨今ただキレがあって早いだけでまるでダンスみたいなアクションが多い中、こういう説得力のある良い魅せ方をするのは非常に好感が持てた。
勝ち方もキャプテンマーベルよろしくただ彼女が強かったっていうことではなく、ジリ貧での心理戦と捨て身の攻撃によっての勝利というのがまた良かった。
彼女のアクション目的で色んな作品を観たくなる、ここにシリーズ化の所以があるのだなと実感した。
あとコイツ強いんじゃないか?からの瞬殺、親父がラスボスか?と思ったからの瞬殺などのハズシの演出が個人的には好きだった。
君塚良一もこういうハズシの演出を見習って欲しい…
あと嬉しかったのは大迫茂夫の出演。
コワすぎファンの私は思わずニヤニヤしてしまった。
渡部とのタイマンで金属バット持たせてれば100点であった。
それにしても強面なのにめっちゃ弱いっていう役はハマりすぎである。
外見一本でも演技できる稀有な俳優さんだと思う。
・悪いところ
ラストの1対1の闘いは良いのだが、こと多数戦になると、殺陣感がすごく出てしまっているように感じる。
特にいわゆる掴みとなる冒頭のコンビニでの戦闘シーン。
男4人に一斉に襲われるのだが、殴ったり刺しに行ったりするのではなく、みんなで持ち上げにいくという謎ムーブを連発して、結構まひろ自身に隙が多いのになかなか攻撃にしに行かなかったりとスピード感で勢いよく誤魔化された感は否めない。
多数戦は怪我の要因にもなるから無理できないのも理解できるんだが…
あと戦闘シーンの音楽がうるさい。
画で充分凄さが伝わっているからわざわざジャカジャカ鳴らす必要はないと思う。
この監督はアクションシーンに自信がないのだろうか?
特にラストの一戦は無音でも良いくらい。
娘のひまりにちさとが押されるのはちょっと謎展開であった。ただ叫んで銃乱射してるだけの酔っ払いなのになぜプロの殺し屋があそこまで追い込まれるんだ?
ただマシンガンを撃たせるという意図の脚本でしかないように見えてしまった。
アクション映画なのに銃火器の考証が全然なってないのも気になってしまった。
まひろとちさとが使っている銃がH&KUSP(9mmパラベラム)と思うのだが、明らかに装弾数以上に撃っている。
まひろが渡部戦で撃っているのは弾切れまで20発
この銃の装弾数は最大で16発。流石に多すぎである。
最近は銃火器の考証もしっかり行われている作品も多いのでついつい気になってしまう。
これが90年代とかであれば、全然良かったんだが。
もしくは改造してるとか?
一方の“日常パート”だがここが非常にゆるゆるすぎて間延びしてしまう感が非常にあった。
つまらなくはないんだが、内容は90年代後期の青春ドラマのような話。殺し屋という設定だからなんとか観れてしまうが、やっぱり途中で飽きてしまいそうになる。
アクションは最高でも演技となると、うーんと思ってしまうところもちらほら。
ここもシリーズを増すごとに良くなっていってほしいと思うばかりである。
ラスト1戦だけでも観る価値があった映画だった。
でも、不思議と次も観たくなる映画でもあった。
京都から1人仕事もせず殺し屋一本でやっているという話だったが、劇中に1人京都から来てるやつがいたが、、まさかね…