ここにあるのは間違いなく私の人生
それなのにまるで空虚なかたまりを掴んでいるよう
友人たちの会食も、夫との時間も、私のものではないかのよう。
私はだれ? 何を求めて生きていた?
掴めなかった真実を探し求めて、歩き始める。
見知らぬフェリペからの手紙
最初の手紙は謝罪だった。
運命の悪戯が嘘みたいに導いていった愛の入り口。
私はJ 。スターリング夫人ではないJ
ブートといる間のJである私が一番好き
それがもう何かわかってしまっていたけど口には出せない。
あなたの言う破滅への一歩でも、そのにかけてみたいそう願う私と、何もかも失うのが怖い私が体の中で戦ってる。
ほんとは何がしたいのか分かってる。
真実の愛によそ見するほど悲しいことはないのだから。
大失恋をして愛を忘れようとしてるエリーが、2人のやり取りの手紙を見つけた事で、見知らぬ2人の愛の軌跡を探すことに夢中になるのが運命的に映った。
閉ざされた愛の記憶が、運命に導かれた赤の他人によってこじ開けられる。
エリーが渇望していた真実の愛がこの手紙に詰まっていたからなのだろう。
ミステリーっぽいかたちで始まるラブストーリーで、エリーと共に歴史を探るような感覚が楽しかった。
ちなみに60年代のスターリング夫人のファッションもおされで見どころの一つ。
スマホで指先だけで作る気軽なやり取りが主流の今だからそこ、言葉を書いて伝えることの重みを知る事ができる美しいラブストーリー。
不倫が忌み嫌われる時代になってしまったが、フィクションの世界くらい好きにさせてくれないとこういうラブストーリーも生まれてこないですよね。