ねむ

ムーンライト・シャドウのねむのレビュー・感想・評価

ムーンライト・シャドウ(2021年製作の映画)
3.6
独特で不思議な雰囲気が漂う。ずっとふわふわと夢の中にいるような幻想感。これは美術品。台詞の少なさで際立つ音楽と麗の佇まい、静けさに引き込まれる。

セーラー服を纏うという薬。鈴の音。薬を探すようなさつきの橋までの疾走。会いたい人は側にいると言った彼の月影現象。等の死の前後のさつきの風貌。それぞれの不安定な心が動く様、その言動も美しい。言動から心情を感じとるたのしさはしっかりあった。

今まで押し殺し抱えていたものを声で吐き出したら襲いかかる空腹感、『お腹すいた』の一言。ひさしぶりの食事をゆっくりと口に運び噛みしめる様子。手作り料理でもてなし、その人の食べる姿で人を理解する流儀。前に進む2人が食べるパン。食事と精神のつながり、食の尊さが描かれている気がして素敵だったな。

幸か不幸か、原作未読。原作に手を伸ばして、空想で補完した部分を埋めたい。
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