アキラナウェイ

ナイブズ・アウト:グラス・オニオンのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

4.3
ダニエル・クレイグが演じる名探偵ブノワ・ブランの「ナイヴス・アウト」シリーズの続編。

前作より格段にこちらの方が好きだワ。

大企業「アルファ」の設立者であり億万長者のマイルズ・ブロン(エドワード・ノートン)からの招待を受け、彼の友人達がギリシャの孤島に集う。しかし、そこには招かれざる客である、探偵ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)の姿が—— 。

マイルズからの招待状は、両手で抱える程に大きなからくり箱。継ぎ目もない様に見えた箱からはチェスやコンパスの仕掛けが次々と現れ、はたまた原子番号や様々な知識がなければ解けない仕様のミステリーBOX。フツーじゃない招待状の登場からして、冒頭からワクワクドキドキ。

からくり箱が届けられたのは、上院企業に立候補する州知事のクレア(キャスリン・ハーン)、科学者のライオネル(レスリー・オドム・Jr)、元ファッションアイコンのバーディ(ケイト・ハドソン)、インフルエンサーのデューク(デイヴ・バウティスタ)、そしてマイルズと共同で「アルファ」を設立したにも関わらず、仲違いし会社を追放されたアンディ(ジャネール・モネイ)の5人。

クセが強めの面々が集まり、ハイテク技術が結集したマイルズの別荘"グラス・オニオン"で予期せぬ殺人事件が起きる…。

キャスリン・ハーンの事をレリゴーのイディナ・メンゼルだと思い込んでいたのはここだけの話。顔が似てて今でも半信半疑。バウティスタの筋肉がもうゴリゴリ。話題作の出演が続くジャネール・モネイ。金髪ショートの髪型や佇まいがクールでカッコいい。

前作に比べて、キャラクターの人数が絞られた事で、ミステリーとして登場人物の相関関係に頭を悩ませる心配がないのが良い。

そして、古典的なミステリーにありがちな洋館を舞台とした前作と打って変わって、今回は開放的なリゾート地が舞台。作風も地中海の空気を反映させたかの様にカラッと明るい。

そのどれもが個人的には好みのドンズバ。

以下ネタバレを含みます。













アンディの正体がわかってからの展開も面白い。観客を裏切るどんでん返しを中盤に仕掛ける事で、物語は加速度的に面白くなっていく。

ブノワによって、本当は無能だと証明されたマイルズ。

なるほど。
ガラスの様に脆く、玉ねぎの様に何重にも皮を被っただけの単なるイカサマ野郎だった訳だ。

そして、全てを燃やし破壊し尽くすラストの展開にスッキリと胸が空く。「スター・ウォーズ」シリーズをぶっ壊したライアン・ジョンソン監督の"破壊者"としての本領発揮は、本作ではポジティブに働いている。

ジャレッド・レトのハード・コンブチャ(アルコール度数9%)やら、ジェレミー・レナーの激辛ソースやら、脚本の小ネタでも笑わせてくれるし、EDでThe Beatlesの「Glass Onion」を流してくるんだから、随所に監督の遊び心が利いている。

そして、ブノワ・ブランが男性のパートナーと同居している事をサラリと描く辺りも好感が持てる。そのお相手が何とおヒュー様ことヒュー・グラント。

SWでは散々文句言ったけど、ライアン・ジョンソンの才覚は認めざるを得まい。