おぬすび

スティルウォーターのおぬすびのネタバレレビュー・内容・結末

スティルウォーター(2021年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

父娘の確執を描いたヒューマンドラマ。
マット・デイモン扮するビルが、殺人罪で逮捕された娘のアリソンの無実を証明するために奔走するのだけど、やることなすこと全てが裏目に出ていていたたまれなかった。
父親として娘の信頼を回復したい気持ちだけが先走り、アリソンがもう自分の罪を受け入れると気持ちをかためているのに、よかれと思って犯人探しを続行したり。

とくに、一日出所のアリソンを(アリソンが刑務所に入っている間に)フランスで見つけたパートナーとその娘の待つ家へ連れていくくだりは、観るのがつらかった。
ずっと刑務所暮らしだったアリソンからすれば、父親が築いたあたらしい疑似家族の生活は、眩しすぎて絶望しかなかったんじゃないかな。
それこそ、その晩に首を吊りたくなるくらいに。
わたしにとってはこのシーンがいちばん、ビルの「わるい人じゃないんだけど配慮が足りない」人柄をかんじた瞬間だった。

結局のところ、目の前にいる相手のこころそのものを理解しようとしなければ、せっかく築き上げた関係も一瞬で崩れてしまう。
愛した人たちの居ないスティルウォーターは、ビルの目に、どんなにか寂しい景色に映るだろうね。
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