南森まち

スティルウォーターの南森まちのレビュー・感想・評価

スティルウォーター(2021年製作の映画)
4.0
留学先のフランスで殺人罪で勾留されている娘。父はアメリカから彼女に会いに行き、新証言により娘の無実を証明する機会が現れたことを知る。
しかし担当弁護士はまったく取り合ってくれず、フランス語もわからないまま自ら捜査を始める。一方、ホテルで知り合った英語も話せる女性とその娘と温かい交流が始まるのだが…というお話。

個人的に大好き。アメリカ映画は「いつも最後は超ハッピー」なイメージでしたが、本作はかなり攻めた内容でした。こういう映画も作れる多様さがスゴい。
正義感が強い人や信心深い人であればあるほど悩み、簡単に受容できないような内容だった。この選択肢は仕方なかったのか、それとも序盤に出会った差別主義者や無秩序に暴力を振るう人々と変わらないのか…?色々考えさせられた。

大事な我が娘を守ろうとした結果、他の大事なものが失われてしまった切なさに心が締め付けられる。
最後の父娘のやりとりは、主人公のやったことに対する気持ちを充分に表現する好演出だった。映画史に残る名シーンだと思う。